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バーゼル取材 DAY3
時計にもマーケティング戦略にも”新しい”が溢れている
ジョージ・カーン氏が率いる新時代ブライトリングの、初となるバーゼルワールドではバラエティ豊富な新作がプレゼンテーションされた。
回転計算尺を持たず、文字盤要素をすっきりとさせた「ナビタイマー 8」の充実したコレクションをはじめ、往年のパイロットたちが腕や太ももに飛行服の上から革ベルトで巻きつけて使った時計を現代的な工作技術の粋を用いて再現した「ナビタイマー 8 スーパー 8」や、1960年代には存在したというクロノグラフ機構を持たないナビタイマーを、自動巻き3針時計として甦らせた、38ミリケース径の小振りな「ナビタイマー 1 オートマティック 38」など、これまでのデザインを継承しながらも、新しいイメージを纏った新作が数多く発表された。38ミリ径というのはアジアのマーケットには待ち望まれていたサイズであり、また女性とシェアすることもできるのだから、注目されることは間違いない。
そしてこれまでの翼と錨をあしらったシンボルマークを、筆記体のBのみとしたのも、新しいブライトリングの門出にふさわしい決断であったに違いない。これまで空のみのイメージが強かった物作りを、陸、海、空へと広げ、ダイナミックに展開し、スポーツ・ウォッチ全般に強いブランドを構築しようという意欲が、今年のコレクションからは感じられた。
バーゼル取材 フォトギャラリー(写真8枚)
またスイスのハブ空港であるチューリッヒ空港のターミナルの中に、ブライトリングのブースを置き、空港を利用する旅行者にブランドのイメージをアピールしたり、スイス航空のインフライト・ショッピングのアイテムとして、ブライトリングの腕時計が買えたり、さらにはスイスインターナショナル航空の機内の、フライト情報にもブライトリングのPRが入るなどのイメージ戦略も巧みだ。
今後、ブライトリングは、ブティックのイメージも一新していくらしく、その先駆けとなるショップを、富山の「WING」の店(WING富山店)で展開したのを、先日見学に出かけたが、新しいイメージの映像を流し、また什器も新しくなり、ア−トブックやオブジェを置くなど、どこかカフェ的なイメージのショップとなっていた。
新生ブライトリングのこれからが楽しみだ。
Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。バーゼル101年の歴史の3割を実際に取材してきたジャーナリストはそうはいない。
撮影/岸田克法 文/松山 猛