過去と現在を結びつける貴重なアーカイブに遭遇

200年の時を経て古典的美が蘇る
ブレゲの残したものには、様々なスタイルの時計があるが、中でもポータブルなキャリッジクロックは、精緻なメカニズムも、その外装デザインも美しいものだ。
日本では昔「枕時計」と呼ばれたこれらの時計は、一台一台が木と革で作られた専用のケースに収められ、馬車などの旅に持ち歩かれた。その多くはリピーティング機構をもち、音で現在時刻を知らせてくれ、またあるものは永久カレンダー機構をもち合わせていた。
そして究極の時計の一つがサンパティークと呼ばれる親子同調システムを備えた時計だ。外出から帰ると、置時計スタイルの親時計に、子時計のポケットウォッチをセットすると、自動的にスプリングを巻き上げ、もしずれていれば、時刻修正までするという、驚異的なメカニズムをもつ時計だ。マリー・アントワネットが注文した、複雑機能を備えた、有名なかの時計と並ぶ、ブレゲの天才性を示す時計と言えよう。
かつてのブレゲ時計がもつ古典的な美が、200年の時を経て、革新技術とともに、現代の時計に反映されているのを実感する訪問となった。
時計だけでなく貴重な資料類も保存、展示する

ブレゲ・ミュージアム
住所:6, place Vendome, F-75001 Paris
ブレゲ・ミュージアムは、パリの中心ヴァンドーム広場にあるブレゲ・ブティックの2階だ。
[MEN’S EX 2017年9月号の記事を再構成]
撮影/Ikuo Yamashita 取材・文/松山猛
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