SIHH取材 DAY 4
名作が持つ魅力を増幅!
ジラール・ペルゴのラグジュアリー・スポーツ時計「ロレアート」に、今年は新たにクロノグラフがラインナップされた。
38mmというケースサイズのこの時計は、ぐっと締まった印象を与えてくれる。特にクロノグラフの場合、文字盤の中のインダイアルなどの要素が多く、その密集した精密感がとても良い感じとなったように思われた。そしてトレンディな人々の「小さな時計が欲しい」という声が高まっている日本のマーケットには、けだし朗報であろう。
そしてケース素材に使われたのが、スーパー・ステンレスと呼ばれる「904Lスティール」で、とてもクオリティが高く、腐食に強いなどメリットも多い。それを丁寧に仕上げているから高級感も充分だ。ラグジュアリーなスポーツウォッチとして人気を博すに違いない。
同じくロレアートには、ブラック仕上げのセラミックケースに、ガルバニック加工により、チャコールグレーに処理されたスケルトン仕様のムーブメントをおさめた「ロレアート 42mm スケルトン セラミック」や、ゴールドケースのフライング・トゥールビヨン搭載機など、豊富なバリエーションが取り揃えられた。
ここへ来て多くの時計メゾンが、自分たちの歴史を振り返り、アーカイブの中に残された名作に、再びスポットライトを当てるようになってきたが、長らく時計界の変遷を見続けてきた筆者のようなウォッチ・ファンには、とても嬉しい現象であるように思える。
それは新しく誕生するだろう、未来のウォッチ・ファンへの、素敵なメッセージとなるに違いない。安心して選ぶことができ、それを手に入れ、大切に使い続けることができる、そんな時計が必要だからだ。

Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。SIHHは初回から欠かさず取材を重ね、今年で28回目。
撮影/岸田克法 文/松山 猛