「WAR IS OVER!」六本木に出現したオノ・ヨーコのアート、破壊と創造のリレーションとは?

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近頃、エグゼクティブの間でますます話題のアート。知識を広げ、ビジネス会話を広げるためには、アートの「用語」にも精通しておきたい。

今月の用語 “リレーション” 【ビジネス”ART”会話#10】

オノ・ヨーコ
平和を訴え続けたアーティスト、オノ・ヨーコが、近年の難民問題をクローズアップした作品。観客は展示室へ入り、壁や床、作品の船にも平和へのメッセージを描くことができる。
オノ・ヨーコ《色を加えるペインティング(難民船)》 1960 / 2016年 参加型インスタレーション サイズ可変 展示風景:「オノ・ヨーコ:インスタレーション・アンド・パフォーマンス」マケドニア現代美術館(ギリシャ、テッサロニキ)2016年

“リレーション”

破壊から創造を生み出す社会を再起させるアートの力に注目

ラインやツイッターといった、SNSなどのネット上での付き合いが頻繁になり、現実での人間関係の難しさを実感することはないだろうか。

「リレーション」というアート用語は「関係/関係性」を示す言葉。例えば、アーティストが被災地に赴き、そこに暮らす住民と関わり、一緒に作品を制作する”人々とつながる”こと。地元の歴史と作品の間にある文脈的な”関係性”を作ること。そういった目に見えない芸術活動すべてを、「リレーション」というアートとして考える。

本展には「アートが社会においてどのような役割を果たすことができるのか」というテーマで、震災や不況などの災禍を被った私たちと社会の「リレーション」を、マスメディアとは違った視点で映しとった作品を集めている。より良き社会へのヴィジョンを提示するのは現代アートの役割のひとつ。会場は”どうすればよい未来を描け、人が社会と関わるエネルギーを増幅できるか”という、鑑賞者とアーティストとの「リレーション」を結ぶ場になるだろう。特に、映画やドキュメンタリーの監督としても著名な大御所アーティスト、アイザック・ジュリアンの、アートと経済の関係を鋭くえぐる映像は必見。


オノ・ヨーコ、ジョン・レノン
オノ・ヨーコ 《戦争は終わる》 1969 / 2018年 展示風景:「カタストロフと美術のちから展」森美術館(東京)2018年 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

オノ・ヨーコとジョン・レノンの永遠のスローガンが六本木に出現

六本木ヒルズ内(美術館外)でもオノ・ヨーコの作品《戦争は終わる》のビルボードを展示。ベトナム戦争が激化していた1969年に、タイムズスクエアをはじめ世界11都市で掲示され、その後も世界各地で行われているプロジェクト。


被災地での人との関わりが アートプロジェクトに発展

加藤 翼
加藤 翼《The Lighthouses – 11.3 PROJECT》
2011年プロジェクトの記録写真 撮影:宮島 径 Courtesy:無人島プロダクション

倒壊した家の解体作業を手伝ったアーティストと家主たちとの交流から生まれた作品。被災した地域のシンボル、灯台を修理し、総勢500人の力で「引き興し」された瞬間、複雑な住民の気持ちが緩くつながっていく。


経済のカタストロフ(大惨事)に目を向けた映像作品は見逃せない

アイザック・ジュリアン
アイザック・ジュリアン《プレイタイム》
2014年 3チャンネル・ハイビジョン・ビデオ・インスタレーション、5.1サラウンドサウンド 64分12秒 Courtesy: VictoriaMiro, London

証券会社リーマン・ブラザーズが倒産し、世界が金融危機に陥ったことはアートの世界にも影響を与えた。投資とアート・マーケットの密やかな関係を赤裸々にする、5つのエピソードからなる映像に思わず身震い

DATA

『カタストロフと美術のちから展』

会期:開催中〜2019年1月20日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10時〜22時(火曜日は17時まで。2019年1月1日は22時まで。いずれも入館は閉館時間の30分前まで)
会期中無休
料金:一般 1800 円ほか
お問い合わせ:ハローダイヤル TEL:03-5777-8600



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[MEN’S EX 2019年1月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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