日本国内でワインの生産量でベスト5に入る岩手県。中でも豊かな土壌に恵まれた花巻市は知る人ぞ知るワイン産地です。今回はそんな花巻市を代表する「エーデルワイン」を訪ね、国内でもめずらしい品種のワインを試してきました。


ちなみに「日本ワイン」とは、日本産のブドウを100%使用し、日本国内で製造されたワインのことを指します。国産ワインと違うのは原料となるブドウ果汁を輸入しても国内で製造すれば国産ワインと名乗れます。国産ブドウにこだわるのであれば日本ワインを選ぶのがよいですね。

さて、訪れたのは岩手県内で最古にして最大のワイナリー・エーデルワイン。新花巻の駅から車で30分程のところにあります。「大迫」と書いて「おおはさま」と読むこの地、実は土壌と気候がフランスのボルドーに似ているとのことで、昭和20年代の初めの岩手県知事だった國分謙吉氏によりワイン造りが奨励されたという歴史があるのだとか。
また、近くには古来より霊峰と崇められ修験者たちの修行の場でもあった早池峰山があります。そこに咲く固有の高山植物「ハヤチネウスユキソウ」はヨーロッパアルプスの「エーデルワイス」の近縁種。これらの花の縁で大迫町は、昭和40年にオーストリアのベルンドルフ市と姉妹都市になりました。だからこの地で栽培されているブドウは、オーストリアやドイツ系の品種が多いのです。だからワインマニアでもない限り、耳慣れないレアなものばかり。
では、まずこのワイナリーのフラッグシップともいえるのが「五月長根葡萄園」。リースリング・リオン種から造られた白ワインで、柑橘系の爽やかな香りと果実味が豊かなのが特長。キレのある酸味もありながらふくよかな余韻が残ります。ブドウの品種に詳しいかたでも「リースリングは知っているけど、リースリング・リオンってなんだ?」と思われたのではないでしょうか。