
受付を済ませて、ここまで説明を聞いてもまだマユツバながら、ロッカールームに向かう。じつは取材前日、「ウェアやシューズ、靴下や替えの下着はなくて結構」と通達され、まさかと思っていたが、この時ようやく合点がいった。ロッカーで着替えて纏うべきは、薄手の上下黒タイツだったのだ。タイツの下もパンツは脱ぐのが推奨で、それが嫌という人には紙パンツがいちおう支給される。

少し気恥しいピタめのタイツ姿でトレーニングスペースに降りると、トレーナーたちが笑顔で迎えてくれた。「ではこちらへ」と案内され、Six Padスーツを着せられる。この時、トレーニング中に電流が伝わりやすいよう、身体との密着面はミストスプレーで水を噴射して濡らされていた。トレーナーたちが各部ベルトを締め上げるのを手伝ってくれるが、このジムのために開発されたSix Padスーツは、膝上から肘上の身体を、ほぼ欠けるところなく包み込む。装着が完了したら裸足のままオレンジの円内、専用の大型スクリーンの前へ。一人につき必ずトレーナーがつく、マンツーマン形式だ。

「電流の強さは100段階あるのですが、まずは2でやってみましょう」と、にこやかにトレーナーがステーションを操作して、スーツに電流が流れる。すると胸から上腕にかけて、ぐっと力づくで固められたような、収縮が始まった。ここから両手を目一杯、拡げるのが最初のエクササイズだ。なるほど結構キツい。加圧やリフティングでやるような負荷を、まさしく電気的に生み出しているのだ。
「ハイ、それじゃ負荷を少しづつ上げていきますよ〜」と、相変わらずスマイリーではあるがトレーナーの常として、追い込むことも忘れていない。電流の強さに応じて負荷と運動強度は上がる。慣れていない当初は、電流の刺激を肌上で痛みのように感じる人もいるそうなので、最初は低めから始めるのがセオリーだとか。