“大事を始めるには、まず手近なことから始めよ”、と教える中国の故事「隗より始めよ」。本連載では”よい関係を築くには、まず一緒に食事しよう”との発想のもと、達人たちのリアルな会食術を掘り下げる。

今月の”会”の達人

AKI ISHIZAKA
代表取締役社長 石坂泰章さん
1956年生まれ。成蹊大学卒業後、三菱商事勤務を経てアート業界へ。画廊経営、サザビーズジャパン代表取締役社長を務めた後、現在、社長を務めるアートアドバイザリー会社を設立。東京芸術大学非常勤講師。
大切なのは、店の客筋がゲストに合っていること
会食する店を決める際に考慮すべきポイントの一つが”アクセス〟=B自分が仕切る場合、相手の勤務先や自宅住所などからエリアを絞り込むのは常套手段だろう。だが、かつては商社マン、現在はアートアドバイザーとして数々の大型取引を手掛ける石坂泰章さんにお話を伺うと、「利便性にとらわれない」という観点が浮き彫りに。
「たしかに若い頃は、便利で、接待利用が多い店を選んだものです。でも、今は違う。これはもちろん相手との関係性にもよりますが、敢えてちょっと外れの店にするのです。その方が、客層が安定していて、落ち着いて話せますから。仕事柄、美意識の高い方々とお付き合いしているので、余計に雰囲気を重視するのかもしれません」
そう語る石坂さんが贔屓にする一軒が、代官山駅から徒歩6分の所にあるイタリアンレストラン「TACUBO」。閑静な住宅地に隠れるようにそっと佇み、見落としそうなほど小さな看板がその存在を控えめに知らせている。まさしく知る人ぞ知る店、といった風情だ。
「目玉は炭焼きならぬ薪焼き肉。ちょっと新鮮でしょう? ここならではの洗練された雰囲気を満喫できるという点で、特等席はやはりカウンターでしょうね」
“会”を成功に導くには”ちょっと不便〟を味方につける
TACUBO ギャラリーを見る(写5点)
TACUBO
住所:東京都渋谷区恵比寿西2-13-16 ラングス代官山1F
TEL:03-6455-3822
営業時間:昼12時〜15時30分LO(水曜・土曜・祝日〜13時)、夜18時〜23時LO
休日:日曜(祝日の場合は翌日休)
[MEN’S EX2018年6月号の記事を再構成]
撮影/武蔵俊介 取材・文/甘利美緒