
2017年、人類はついにイヤフォンコードから自由になった! 音楽プレーヤーとはブルートゥースで無線接続するのは勿論、右と左のイヤフォンもそれぞれ独立した「トゥルーワイヤレス」のイヤフォンが昨年、大手メーカーも参入し、本格的に種類が増えてきた。取回しは間違いなく楽、でも気になるのは音。大手から新進気鋭まで人気の高い6モデルを用意、その”鳴り”の実力を”音のプロ”にインプレッションしてもらった。
検証したプロ
ジャズトランペッター
類家心平さん Shinpei Ruike
自ら率いるバンドRS5pbからリリースした2枚目のアルバム『UNDA』(T5Jazz Records)が好評発売中。ちなみに今回、インプレッションの際に聞いていたのはこちらのアルバムのもの。
ジャズミュージシャンが”楽しんだ”モデルとは?
「僕が音楽を聴くのは主に屋内なので、スピーカーが中心。だからこの手のイヤフォンに興味はありましたが、実際に聴くのは初めてなんです」と語るのはジャズ・トランぺッターの類家さん。
2016年にアップルがiPhoneのイヤフォンジャックを廃止し、ブルートゥース接続のみに舵を切った。以降ワイヤレスのイヤフォン、しかも左右のイヤーピースが独立した”完全ワイヤレスタイプ”がオーディオ界の話題の中心となっている。大手のみならず新鋭メーカーの参入も盛んだ。
そこで、音楽の”作り手”でもある類家さんに、現在市場で評価の高い主要メーカーのフラッグシップモデルを聴き比べてもらった。いずれも2?3万円程度の商品だ。 聴いてもらったのは、自身の5ピースバンドのジャズ・インストゥルメンタル音源。その感想は?
「正直に言うと、こんなに小さくてちゃんとした音が鳴るのかという先入観がありました。でもどのモデルも、思った以上に音はいいと思いました。この6つの中で欲しいものをあげるなら、一番はソニー。次がボーズかな」。
ソニー・ミュージック系のレーベル出身だから?と邪推されかねないので正直に断っておくと、類家さんが最初にソニーを耳にしたときはピンとは来ていなかった。実はこのとき、ノイズキャンセリング機能がオンになっていたのだ。
「ノイズキャンセリングをオフにすると段違いですね(笑)。音源の音を忠実に再現している印象です。作り手の意図した通りのバランスで聴けると言いますか、自宅のスピーカーでCDを聴くのと同じように、違和感なく聴けます」というのが高評価の理由だ。
「イヤフォンは耳の穴に直接突っ込むものなので、高音のシャリシャリ感が悪目立ちしかねません。とくに今回聴いたのは自分の曲で、生楽器中心のインストですから、ハイのバランスやミッド&ローの膨らみ方にクセのないソニーが◎でした。これがダンスミュージックやヒップホップだったらまた違う印象になるのかもしれません」。
その意味でも次点はボーズ。「ローの音をバランスよく持ち上げてくれるメーカーなので、イヤフォンで聴くとその特徴がメリットとしてより生きると思います」。