昼食を終えてちょっと昼寝をしたら、お腹がこなれた。そうだ、ジムエリアにゴルフのシミュレーションがあったはず、電話をして空きがあるか聞いてみた。週末は予約がすぐに埋まるそうだが、平日だったので、すぐに出来るとこと。いそいそと降りていく。

普段はゴルフなんてしないのに、旅先は不思議だ。クラブを握るのは実に30年ぶり。中学生の頃、やったことがあるが、あまりに向いていないのでやめてしまった。でも、インドアゴルフならば誰にも迷惑をかけることなく楽しめるはず。シンガポールで開発されたゴルフシミュレーターを設置してあり、48コースを選べ、そのうち40コースは世界の有名コースだとか。コーチの言われるままカリフォルニアのペブルビーチ・ゴルフリンクスでやってみることにした。

自転車と同じで、体が覚えている??なんて言えれば格好良かったのだろうが、まったくもって覚えていない。スイングに行き着く前に、アドレスからコーチに直される。空振りこそなかったが、ボールが前に飛ばず、向かいにいるコーチめがけて飛んでいってしまう始末。「頼むから俺を狙わないでくれ」と冗談を飛ばしていたがコーチの額から冷や汗が流れていたのをボクは確認している。
ちなみにテーブルとスツールがしつらえてあるので、前日に訪れたレストランのアクアから飲み物や食事を運んでもらうことが出来る。もちろん、ビールを飲みながらプレイすることも可能だ。わざわざ暑い中、普通にプレイするよりインドアゴルフのほうがいいのではないだろうか? と普段ゴルフをしないボクは考えてしまうのだが……。
ようやく形になったところで、1時間が経過。緊張からか猛烈にノドが乾いている。ゴルフはまた30年後にすればいいと思い、クラブラウンジへと上がってカクテルタイムを楽しむことにした。
#15に続く
次回:ホテルのクラブラウンジで夕暮れの一杯
文/藤村 岳