
全米で昨夏、わずか5スクリーンで始まった上映が、口コミにより2600スクリーンにまで広がった大ヒット作。原作もなければスター俳優も出演していないが、コメディアンという夢に向かうパキスタン移民の青年が成長する物語を通して描かれる、異なる世代や異文化の共存というテーマが多くの人に響いたのだろう。
このストーリーは、主人公の青年クメイルを演じる、俳優・作家のクメイル・ナンジアニが実際に体験したもの。厳格なイスラム教徒の母親に内緒でアメリカ人女性のエミリーと交際をスタートするが、母親が仕込んだ見合いを続けていたことがエミリーにばれてふられてしまう。

その後、エミリーが原因不明の難病で昏睡状態に陥ってからのクメイルと、エミリーの両親との関係の変化がいい。当初は「娘を傷つけた」とクメイルを敵視していたが、「エミリーの快復」という願いを共有することで、すべての垣根を超えた同士のようになっていく。多様性のある社会に生きるヒントがここにある。
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『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
監督:マイケル・ショウォルター
出演:クメイル・ナンジアニ、ゾーイ・カザン、レイ・ロマノ、ホリー・ハンター、アヌパム・カー
2月23日、TOHOシネマズ日本橋ほか全国順次ロードショー
[MEN’S EX2018年03月号の記事を再構成]
文/須永貴子、神山典子 構成・文/甘利美緒