
2013年の「愛国者の日=パトリオット・デイ」に開催されたボストンマラソンの、テロ実行犯を逮捕するまでの102時間を描く実録映画。
登場人物はすべて実在するが、唯一の例外は主人公の警察官トミー。ボストン警察の各部門で事件解決のために尽力した警察官たちを統合したトミーを熱演するのは、地元出身のマーク・ウォールバーグだ。
さらなる推しポイントは、監督にピーター・バーグを起用したこと。なぜなら彼は、メキシコ湾原油流出事故をモチーフとした災害パニック映画『バーニング・オーシャン』や、サウジアラビアで5日間の任務に当たるFBI捜査官を描いた『キングダム/見えざる敵』など、タイムリミットが迫る極限状態で任務を遂行するプロフェッショナルの姿と、生々しいアクションシーンを描く名手だからだ。
本作ではさらに、被害者たちの日常から始まり、悪夢を経て、日常を取り戻すシーンで終わる群像劇に仕上げた手腕も光る。その結果、この映画は我々の人生の話へと昇華された。
『パトリオット・デイ』
監督:ピーター・バーグ 出演:マーク・ウォールバーグ、ケヴィン・ベーコン、ジョン・グッドマン、J・K・シモンズ、ミシェル・モナハン
6月9日よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国順次公開
http://www.patriotsday.jp/
[MEN’S EX 2017年7月号の記事を再構成]
文/須永貴子、神山典子 構成・文/甘利美緒