「トノウ カーベックス リメンバー」というモデルは、文字盤が鏡文字のように反転していて、反時計回りに時計が進むというアイロニカルな仕掛けの時計である。時・分針のみならず秒針までが逆進するのを見ていると、映画のフィルムを逆回しにして、時間が戻っていくような変な感じになる。クレイジー アワーズも衝撃的だったが、時間とは何かと問い続けるフランク ミュラーの時計作りを象徴する、新しい試みに拍手を送りたい。

ヴァンガード コレクションには、文字盤上にランダムに配された数字を、時間神がジャンプする「ヴァンガード クレイジー アワーズ」や、建築的な構成美が素晴らしい、ブルーに染められたスケルトンムーブメントの、「ヴァンガード ヨッティング アンカー スケルトン」という、スポーティなモデルが登場した。ピンクゴールドのケースとブルーのムーブメントのハーモニーは、時計芸術の粋といっていいだろう。

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お問い合わせ先:
フランク ミュラー ウォッチランド東京 Tel.03-3549-1949
http://www.franckmuller-japan.com/
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松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。