鏡さんの愛用品をチェック! (写真2枚)
古着を生かしたハマダーファッション
次に鏡さんが魅力を感じたのは「ハマダー」ファッション。着古した古着のTシャツやデニムを合わせた、古着店のスタッフを思わせる装いである。ハマダーは、いつもそんな着こなしをしていたダウンタウンの浜田雅功さんのファッションが由来で、鏡さんの高校時代、若者に人気のスタイルだった。
「高校時代は古着屋に出入りしてスタッフと交流しながら、買うのはレプリカのリーバイス501のバリエーションばかり。トップスはもっぱらチャンピオンのパーカやTシャツ。靴はコンバースのスーパースターで時計はGショックでした。中学時代はラグビー部、高校では柔道部に所属したため、周りは男くさい連中ばかり。それもあって、フェミニンなファッションは好みではなかったんです」。

高校3年で部活を引退すると、アルバイトに精を出し、バイト代で洋服を買うのが楽しかったという鏡さん。お洒落はもっぱら、同じ敷地にあった系列の大学に通う大学生のスタイルを参考にした。大学に進学してからも柔道を続けるが、高校時代の大半と違いファッションと部活をともに楽しめる環境であった。
個性的な柔道部の先輩に憧れて
先輩のなかに柔道が強くて色々な遊び方を知っている人たちがいて、あまりのカッコよさに鏡さんは「この人たちみたいになりたい!」と彼らを目標にした。憧れの先輩の1人はトラッド、もう1人はアメカジといった雰囲気。ディッキーズのパンツを腰穿きしてポロ ラルフローレンのシャツを着る。Tシャツの上にダウンジャケットを羽織り、ビーニーやベースボールキャップをかぶる。冬でもグラミチのショーツを穿き、スケーターブランドのスニーカーを履く。そうした先輩の装いに憧れて、裏原宿、ストリートファッションといわれる分野に鏡さんはのめり込んだ。
「吉祥寺(東京都武蔵野市)のレンガ館モールでグッドイナフやAG、ア ベイシング エイプなどを安く買えるお店があって、よく行きました。それらに吉祥寺のパルコの地下にあったスポーツ店で買ったアウトドアテイストのものを合わせるのが好みだったんです。また、大学の向い側にあったセレクトショップも馴染みの一つ。アバクロンビー&フィッチのパーカやスウェットシャツ、ナイロンパンツなどを買ってはオーバーサイズで着ていましたよ」

大学卒業後、株式会社伊勢丹に就職
大学卒業は2002年。自動車や金融といった複数の企業を受験し、入社を決めたのが株式会社伊勢丹である。6月に紳士服部門へ本配属ののち、研修を終えた10月1日からは、新人ではなくなり、戦力として扱われる忙しい日々。そのころ、伊勢丹新宿店は大きなプロジェクトを準備していた。2003年のメンズ館リモデルオープンである。
「プロジェクトのために出向先から伊勢丹新宿店に戻ってきた大先輩のバイヤーに、私は衝撃を受けるんですね。その人はアットリーニのスーツの上にモンクレールのダウンを羽織り、靴はエドワードグリーン。さらにパーマヘアという風貌を見て、『なんだ、これは?!』と」。