ラルディーニファミリーのフォーマルスタイルは?

そして、いよいよパーティ当日。 「今日は2500人くらいのゲストが来る一大パーティになるよ!」というわけで、大型バスで1時間ほど揺られてついたその会場「Sferisterio Macerata」は、コロッセオのような野外劇場のようなところ。ここは昔はスポーツ競技場だったが、1921年にオペラフェスティバルの会場として使われた後は、主にオペラのコンサートなどが行われる野外ステージとして使われているようだ。3000人近い観客を収容できるこの会場は、外壁ももちろん歴史的建物感があり、日本のコンサート会場とは、やはり趣が全然違う。
記念式典というフォーマルな場での、ファミリー一同の装いも気になるところ。 というわけでここでは皆さんのフォーマルスアイルを一堂にご紹介。

こちらは、社長のアンドレアと、その息子のアレッシオ。アンドレアは、普段から出張のときまで一貫してネイビースーツスタイルを好み、そのスタイルを崩さない。なのでこの夜の記念の宴でも、やはりネイビースーツだった。白シャツに濃紺のネイビータイというのも、夜のフォーマルスタイルの鉄板だ。一方、セカンドジェネレーションのアレッシオは明るいブラウンのフォーマルジャケットにブラックタイ。シルク混で上品な艶感があり、ラペルがショールカラーになっていたり、また茶のトーンも旬なテラコッタカラーを選んでいるところも、今っぽいセンスが抜群だ。

一方、アンドレアの弟のルイジ・ラルディーニも、ルイジらしさが光った。彼は比較的崩したスーツスタイルが好きなので、この祝宴にも白ジャケットにピンクタイという攻めた装いで登場。ネクタイをピンク色にしたのは、祝いの場という華やかさを表現しているのだと思う。


各々個性的なスタイルが多い中、次世代のレオのように、正統派のブラックフォーマルスタイルというのもカッコよかった。逆にイアリアの女性のドレススタイルというと、黒やネイビーベースにレーシーな素材のドレスなどが多かったのが印象的だった。
イベントは夜の20時頃からスタート、ラルディーニファミリーの紹介ビデオに始まり、イタリアでは超有名なコメディアン的な女性シンガーのショーがあったり、会場のお客さんへの一言インタビューがあったり、またメンズの2人組のボーカルバンドの歌があったり……と、深夜0時過ぎまで盛り上がった。
今回のイベントには、工場で働く職人たちやその家族、ラルディーニの服作りに関わるみんなが祝いにやってきたというのも印象的だった。最初はいろいろなブランドのOEM的な服作りからスタートした街の小さな工場が、兄弟手を取り合って努力したことで会社が成長していき、ラルディーニという自身のブランドが立ち上がった後も、服を作っていく人たちのハートは変わることなく、みんなこのファミリーが大好きで、これからも頑張っていこう!という会場のムードが伝わってきた。
今は次世代のアレッシオやレオたちも、生地選びなどクリエーションにどんどん参加をし始め、ラルディーニのブースはピッティでもトータルコーディネートの見せ方提案がどんどん面白くなってきた。これからも、日本のショップとともに、今後どんなふうにブランドが進化していくのか、一ファンとして見守っていきたいと思う。

文/平澤香苗(MEN’S EX ONLINE)