千住さんが挨拶で語られていたが、まさに滝の流れこそが、時間の流れに通じるという話に頷く。造山運動やその後の地殻変動などで生まれた、地形のギャップから生まれる滝は、古来から日本人にとって神聖な空間として、畏敬の念とともに愛されてきた自然の妙だ。
「オクト フィニッシモ 千住博 セット」(写真4点)
「オクト フィニッシモ オートマティック 千住博」(写真4点)

「人の力ではどうにもならない時の流れという神の領域。 だからそれを伝える時計は、 まるで神器のように荘厳でなくてはならない」 千住 博
千住さんの描く、一直線に落ちる水の姿は、伝説の動物である龍を思わせる力強さがある。
文字盤の中央に千住さんの『滝』が描かれたオクト・フィニッシモは、さながら腕の上の美術空間といえるだろう。アートに興味のある人なら、気にせざるを得ない時計の誕生である。
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。