メンズファッション業界にはお洒落なだけでなく、とても個性的な生き方をしている人がたくさんいる。この連載では、いま注目の業界人のファッション履歴を通じ、各人の人間的な魅力に迫ってみたい。
第七回 リングヂャケット クリエイティブ DIV. マネージャー 奥野剛史さん [後編]

Profile
奥野剛史さん/リングヂャケット クリエイティブ DIV. マネージャー
1975年大阪生まれ。大学生時代、大阪に初めてできたエディフィスにアルバイトとして働き始める。その後、同ショップを展開するベイクルーズに入社。数年後、独立し自身のショップをスタートするも、1年少々で店をクローズ。2004年にリングヂャケットに入社し、企画開発から広報まで幅広い分野で活躍する。
奥野さんをスナップ! 取材時の気になる装いをチェック(写真6枚)
いよいよリングヂャケットで働き始める
アルバイト時代を含めて、6〜7年ほど経った頃、奥野さんは退社して自分のお店を大阪にオープンした。ビンテージのリー101、インコテックス、バルスターと高級靴など、古着も少し取り合わせた個性的なセレクトだ。評価は高かったが、なにしろ通好みなお店だったため、「友人の洋服屋しか買いに来ませんでした」と奥野さん。結局、お店は惜しまれつつ、1年と少々でクローズすることになってしまった。
次なる転機は2004年に訪れた。縁あってリングヂャケットに入社することになったのである。「良質なスーツやジャケットを作っている会社と言うイメージがありました。重衣料は好きでしたから、いいかなと思って。でも、今考えれば、何も知らずによく入社したなと思います」。
この頃、リングヂャケットは直営店を増やしつつある状態で、商品開発の強化が急務だった。生地の選定や買い付けは、2〜3店舗あった各店の店長が行なっていたので、全体をまとめられる人材として奥野さんに白羽の矢が立った。といっても、入社直後の奥野さんは商品開発専任ではなく、朝、出社して出荷と掃除、仕分けを済ませると、昼はショップスタッフの昼休みの間の交代要員として1時間だけ店頭に立つ状態。
「会社にはバイヤーもプレスもいなかったので、バイヤー、プレス、企画となんでもやろうと思っていましたね。そのうち企画開発を会社から打診されました」。