メンズファッション業界にはお洒落なだけでなく、とても個性的な生き方をしている人がたくさんいる。この連載では、いま注目の業界人のファッション履歴を通じ、各人の人間的な魅力に迫ってみたい。
第七回 リングヂャケット クリエイティブ DIV. マネージャー 奥野剛史さん [前編]

Profile
奥野剛史さん/リングヂャケット クリエイティブ DIV. マネージャー
1975年大阪生まれ。大学生時代、大阪に初めてできたエディフィスにアルバイトとして働き始める。その後、同ショップを展開するベイクルーズに入社。数年後、独立し自身のショップをスタートするも、1年少々で店をクローズ。2004年にリングヂャケットに入社し、企画開発から広報まで幅広い分野で活躍する。
MEN’S EXでもおなじみの業界人が、リングヂャケットの奥野剛史さん。紳士服の仕立てはもちろんのこと、生地についても非常に見識の深い方なので、物静かでトラッド一筋の方と勝手なイメージを持っていた。ところが、若いころからのファッション遍歴をうかがうと、かなり破天荒な人物とわかり、イメージとのギャップが面白いことこのうえないのだ。

周囲とはちょっと違った漫画好きの少年時代
聞けば実家は寿司屋さん。特に子供のころはファッションに関心があったわけでもなく、趣味は漫画だったそうだ。「今は家業がいいなと思えるようになりました。でも、子どもの頃はいつも親が家にいるし、手伝いもさせられてイヤだなと思っていました。友達は遊びに行けるのに、私は家に帰ると盛り付けや配膳、出前の食器の引き取りなどをしなくてはいけませんから」。
なかなか外に遊びに出かけられない奥野さんの楽しみは家で漫画を読むこと。漫画好きのお父さんのおかげで自宅には大量の漫画があり、「漫画喫茶ができるくらいの量でした」と奥野さんは笑う。
「当時のお気に入りですか? へそまがりだったからでしょうか。『伊賀の影丸』、『秘密探偵JA』、『ワイルド7』など、周囲とは違う風変わりなものが好きでしたね。中学のころも、漫画を読んだり、家で空想したりするのが好き。ダサかったと思います(笑)」。