
ロサンゼルスの人気の街の一つが、ヴェニス・ビーチにも近いアボット・キニーという通りだと聞いて出かけてみた。 アボット・キニーというのは人名で、その人物は19世紀にタバコ・ビジネスで巨万の富を築くと、ロサンゼルスの南郊海沿いの地を手に入れ、最初はサンタモニカを開発し、その後あこがれの街であったイタリアの、ヴェネツィアを模した街づくりに私財を投じ、理想の運河沿いの街並みを作り上げ、そこにリゾートホテルやレストラン、さらには劇場なども開いたという。

それがヴェニス・ビーチ界隈の、発展の始まりだったそうで、今もその運河沿いの街は人気の住宅街として残っている。 だが戦後になるとその夢の街も、キニーの死後には凋落し、ひとたびはスラム化してしまうが、ヨーロッパでのホロコーストから逃れてアメリカにやってきた人々や、家賃の安さから、やがてはヴェトナム戦争時代に平和を訴えた、ヒッピーたちの棲家となり、次第に夢のカリフォルニア的な街として人気を復活させたのだった。 それにしても理想の街を作ってしまうなんて、アメリカの富豪には並外れた道楽者が多いね。