高1でメンズショップのアルバイトを経験
最初にファッションを意識したできごとをお尋ねすると、「高校入学前のアイビーブーム」とのお答えが。先輩が東京へ行ったら、アイビールックでかっこよくなって帰ってきたのが今も仙田さんには懐かしく思い出される。アイビーが、とにかく最先端だった時代の話だ。
「15歳、高校一年生の冬にランチコートが流行り、市内のメンズショップへ探しに行きまして。そこにはヴァンもケントもありました」。
高校生でお金がなかったところに、ちょっとした出来事が起こった。足を運んだメンズショップから、アルバイトでもしてみないかと声が掛かったのだ。さっそくアルバイトをしてみると……。
コラム:仙田さんの思い出の私物
リヴェラーノ・リヴェラーノで仕立てたジャケット。こちらは仕立てはじめてから3着目とあって「ようやくアントニオ・リヴェラーノさんも懇意にしてくれるようになりました」と仙田さん。当初は春物にしては厚すぎるのが気になったそうだが、勧めに従ったら幸運の一着に。どこへ行っても珍しい風合いですね〜と、よく触られたほか、「リヴェラーノ・リヴェラーノですね?」と会話をきっかけに商談がスムーズに運んだこともあったとか。
思い出のブルックス ブラザーズ
「メンズショップのアルバイトがきっかけでバイト代がすべて洋服に消えて借金だけが残りました。その頃、ヴァンの最後(※)で、セールもやっていましたから。アルバイトなので、お客さんよりも一足先にいいものを買うことができたわけです」。
当時の仙田さんの装いはブルックス ブラザーズのボタンダウンシャツ、カーキのチノパン、トップサイダーのシューズといったところ。
「先輩がブルックス ブラザーズのカタログを持っていました。書いてあるのはすべて英語(本国のカタログだった)。ブランドは見たことも聞いたこともないけれど、先輩からボタンダウンのシャツをもらって、それに赤いラムベストを合わせましたね」。
先輩やアルバイト先の影響からスタートラインが、アイビー、アメトラ。さらに裕福な家のお洒落な同級生なども、当時の仙田さんのお手本だったそうだ。
コラム:仙田さんの思い出の私物
