チェルッティ 1881の思い出
藤枝さんが仕事で出会ったブランドはダンヒル、アルニス、ジバンシィ ジェントルマン、アボン、ミラ・ショーンなど年齢層の高い人に向けた大人のブランドばかり。なかでも印象深かったものを尋ねるとチェルッティ1881の名が挙がった。「もともと高級服地で知られたニノ チェルッティのオーナーが、マドレーヌ広場にブティックを作り、パリで発表した最先端のイタリアファッションでした。普通には自分で着ることができないものでしたが、自宅から通っていたこともあって、給料を全部使って社販で買っていましたよ。ベロアのスウェットの上下などリラックスできる上質なアイテムを提案していたのを覚えています」。藤枝さんは1980年にご結婚されているが、そのときのタキシードもシャツもチェルッティ1881だったそうだ。
もうひとつ、当時のコロネット商会が取り扱うブランドのなかで印象的だったのがゴヤールである。藤枝さんによれば、最初は手織りのシルク生地を使っていて、コロネット商会が藤枝さんの入社以前から取り扱っていたそう。


ゴヤールの情熱に共感
現在、藤枝さんの手元には非常に状態のよい当時のゴヤールのボストンバッグがある。これは、藤枝さんの師にあたるコロネット商会の創業者、桃田有造さんの形見分けとしてご子息から贈られたものだ。コロネット商会が手掛けた時代から数十年がたち、ゴヤールは日本に再上陸しているが、これを藤枝さんは懐かしく思い財布を購入した。
「これは10年前に家族4人お揃いで購入した財布です。昔と同じでなくちゃいけないとは思いません。現在のものも魅力があります。ブランドを蘇らせようとする情熱が素晴らしいと思えるし、女性用にいろいろなカラーが展開されたのもいいですね」。

