俳優・中井貴一は何故ハワイに魅了されたのか──?

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松田聖子さんと共演した映画の撮影で目覚めたハワイの魅力

中井貴一さん

最初の渡航から約10年。小学生であった私も20歳を過ぎていた。ハワイのことも一昔前の思い出になりかけていた頃だった。大学に通いながら仕事も始め、2回目のハワイは映画の撮影という形でやってきた。映画のタイトルは『プルメリアの伝説』。

デビュー当時、日本映画界は苦戦続き。もがけばもがくほど良い状況が見えてこない。そんな中にあって、当時アイドル映画と呼ばれていたが、この種の映画がきちんとした興行成績を残し、撮影所に仕事と賑わいを与えていた。この『プルメリアの伝説』は、当時アイドルの象徴であった松田聖子さんとの共演映画。ということで、2度目のハワイは仕事とはいえ、2ヶ月もの滞在となった。

映画で頂いた役はウインドサーファー。運動はしてきたものの、陸の上でのものばかり。マリンスポーツなどという洒落たものには縁遠かった私は、撮影が始まる3?4週間前にハワイに入り、オアフ島の東部に位置するカイルアのビーチでウインドサーフィンの練習に明け暮れた。最初の1、2日はボードの上に立つこともままならず、殆ど海の中。しこたま海水を飲まされた。どんなに海水を飲もうが、風に流されようが、映画のため。スパルタ訓練は休みなく続いた。

練習開始から2週間、何とかウインドサーフィンをしている形になってきた頃、初日から海水を飲みすぎた私の胃に異変が。全く食事がとれなくなったのである。ハワイの海は美しいのだが塩分濃度はかなり高く、どうやらすっかりやられてしまったらしい。こんな状態からの撮影開始。果たして、最後まで撮影を無事終えることが出来るのだろうか……。不安一杯で日々の撮影を行っていた。

この地は仕事ではなく、バケーションで来るべきであり、それがふさわしい。しかし、仕事とはいえ撮影の合間、ふとした空き時間に見える海の美しさ、海に沈む太陽の美しさ。湿度が少なく、頬にあたる風の爽やかさ。これら全てが、仕事の疲れを癒し、明日への力を与えてくれるのも事実であった。毎日、ハワイの自然からの力を貰い、無事撮影を終えた頃、私は既にこのハワイの虜となっていた。

いつ頃からだろうか、日本ではやたらパワースポットという言葉が使われるようになったが、この時の私はまさにハワイのパワーの虜だったのかもしれない。

2度目のハワイは、映画の撮影でウインドサーファー役。
撮影の合間、ふとした瞬間のハワイの自然に魅せられたのです。

中井貴一さん
ビーチへと続く小径はビーチアクセスと呼ばれる。オアフ島東岸のワイマナロビーチへと続くビーチウォークの風景から、穏やかなハワイアン・ライフスタイルが垣間見えるようだ

2025

VOL.345

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