ハケット ロンドンの魅力は?
「ハケット ロンドンのハウススタイルはやはり英国的です。英国の紳士服は軍服や王室の装いを見てもわかるように、より男性らしくみせることが源流。ハケット ロンドンは、そこにチャーミング、ユーモアをエッセンスとしてうまく取り入れています。ときにはイタリアのファブリックを使ったり、既製品なのに裏地がドット柄だったり。パッチポケットの生地に身頃と異なる生地を選ぶこともあります。こうしたジェレミー・ハケットのセンスが、自分の性に合うんです」と齋藤さん。

ファッションと獣医の意外な共通点
そんな彼に、フィッティングの際のポリシーを聞いてみた。
「既製品は洋服に身体を合わせなくてはいけませんから、どこかに過不足が現われます。しっかりとヒアリングすることで、着心地や見た目を改善できるのがオーダーメイドの強みでしょう。グローブ・トロッターとフォックス・アンブレラのリペア、さらには獣医の仕事も、丁寧に改善を目指す点では同じなのです。そして、お客様がハッピーになれれば私の仕事を評価してくださるでしょうし、そこにやりがいを感じます。私は洋服を作りたくて、専門学校へ行くという道を経てきたわけではありません。ファッションデザインは本当にセンスのある人でなくてはできないことです。ところが、スーツやフォーマルウェアにはルールがあり、形や仕様、生地のウェイトなどが決まっていますね。ゼロから作り上げるのではなく、ルールのある中でお客様と一緒に着る人の魅力を引き出す。この作業は自分の気持ちにとてもフィットしているのです」。
お話を聞くなかで、齋藤さんの仕事に向かう姿勢が大勢の人の信頼を得ている理由であることがとてもよく理解できた。また、オーソドックスな相談はもちろん、ときには遊び心を発揮したいなんて要求にもしっかりと応えられる独自のセンスがあることも。齋藤さんのファッションを含めた豊富な人生経験は、今後も多くの洋服好きの魅力を引き出していくに違いない。
気になるコーディネイトを徹底解説!(写真4枚)
ハケット ロンドンのパーソナルテーラリング フェア 開催!

今回のコラムに登場いただいた齋藤さんを含め、優秀なスタッフによるハケット ロンドンのテーラリングが味わえるイベント”パーソナルテーラリング フェア”が、2月9日~28日の期間、ハケット ロンドン銀座にて開催。今春のパーソナルテーラリング フェアでは、新型のUカット・ウエストコートがデビューする。注目はスキャバルの高級細番手の⽣地が持つ品のある絶妙な光沢を生かしたネイビーの3ピーススタイル。また、ハケットのハウススタイルをベースに仕⽴てたスーツやジャケットに馴染むのは、やはり専用に仕立てたシャツだ。こちらはスーツやジャケットと同じタイミングで納品が可能。本フェア期間中は、通常アップチャージの一部のオプションが無料になるという点も見逃せない(内容については、店頭まで)。
<パーソナルテーラリング フェア 価格>
スーツ15万円〜、ジャケット10万5000円〜、シャツ 2万7000 円〜(すべて税別)。
納期 約1.5ケ月〜
SHOP DATA

ハケット ロンドン銀座
住所:東京都中央区銀座5-2-1 東急プラザ銀座1F
TEL:03-6264-5362
営業時間:11時〜21時
https://jp.hackett.com/
撮影/角田 進 取材・文/川田剛史