【中井貴一の好貴心】vol.2《Paris-後編-》

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イメージを敢えて覆さず、等身大でいるというスタンス

このサン・マルタン運河でのシューティングでは、今回のパリで買ったルシアン・ペラフィネのブルゾンを羽織ってみた。僕がペラフィネを着ていると、よく後輩たちに「中井さん、ペラフィネ着るんですね!?」と、意外そうな顔をされる。僕にとっては普通のことでも、イメージというものは勝手に持たれてしまうものなのだ。

俳優という職業に限らず、普通の社会でもあることだろうし、頑張って自分の殻やイメージを破ろうと努力するケースもあるだろう。けれども僕は、敢えてイメージを覆そうとは思わない。イメージはイメージで一人歩きしてくれたっていい。肝心なのは、自分自身がどうなのか、どう生きるかということのような気がしている。

この連載を始めるにあたって、等身大の自分を意識していこうと考えたことは、前回にも書いたとおり。その等身大を今の時代の中で表わすのに、この服は自分らしいアイテムのひとつではないかと思っている。

さて今回のパリの締めは、フランスとスイスとの国境地方をルーツとするサヴォア料理の店でのカジュアルなディナー。チーズフォンデュやラクレットの、服に染み付くような強烈なニオイ、嫌いじゃないです!こんなチーズ料理にパリで出会うことも、これまであまりなかった。機会がございましたら、お試しを。コクのある旨さに舌鼓を打ちながら、次回のパリはいったい何を教えてくれるのだろうかと、僕の中の”好貴心”がまたうずき始めるのを感じていたのでした。

サヴォア料理(ラクレット、フォンデュ、タルチフレット)専門店「ル・シャレ・ダヴロン」。ラクレットチーズを扇型にカットし、それを挟みこむような加熱プレートでチーズの側面から溶かし、それをすくっては茹でたジャガイモに塗って食す。ニオイは強烈ながら、ナチュラルでコクの豊かな味わいに、チーズさながらとろけそう。「LeChaletd’Avron」108ruedeMontreuil75011

[MEN’S EX 2013年5月号の記事を再構成]
撮影/宮本敏明 ヘアメイク/藤井俊二 題字・文/中井貴一 構成/まつあみ 靖 コーディネート/南陽一浩

2025

VOL.345

Spring

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