念願だったトリッカーズの別注
2009年には修理だけではなく、ユニオンワークスとのダブルネームによるトリッカーズの取り扱いがスタート。これは中川さんによって忘れられない思い出の一つだ。
「靴の修理店が名門とダブルネームを実現できた!ダブルネームの金箔(金色のブランド名の刻印)を押せるなんて本当に幸せでした。以前からの友人だったトリッカーズのマネージャー(当時)もとても喜んでくれたんですよ。店頭では私たちの7年、10年と履いた私物をエイジングサンプルとして新品と一緒に並べ、履き込んだイメージもわかるようにしました。おかげで初めて入荷したときにはすぐに完売するほどだったんです」
青山店に続き、ユニオンワークスは2011年には銀座、2014年には新宿と、着実に店舗を増やしていく。一方で独自にセレクトしたアイテムの販売も少しずつ増やし、中川さんの理想とする世界観をより広げている。2012年から英国のラザフォードの正規代理店をスタートしたほか、同年チャーチの正規取り扱いも開始した。
「ラザフォードの工場に行ってみたら、とてもいい工場でパッションを感じました。ラザフォードの一番の魅力は革質です。いまでは見なくなったイングリッシュブライドルレザーを使っていますから、表面には粉が噴くし、固くて自立します。また、チャーチは本格的なドレスシューズを手掛けたいという思いから取り扱うことにしたのです」
コラム:中川さんが太鼓判を押すラザフォード
ラザフォードはロンドンから約320km離れた場所にあるイングランド中部の街、チェスターが本拠地。かつて、1970〜1980年代に使われていた工場を、現在のオーナーが買い取って、当時の職人を呼び戻して昔ながらの鞄づくりが行われている。ここでは、気になるラザフォードのアイテムをフォトギャラリーでご紹介しよう。