【腕利き職人スーパースター列伝】〜vol.2〜 本格靴修理の先駆者/前編

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雑誌『Begin』で大人気に

地道な活動を続けていく中で、まもなく中川さんは幸運を引き当てることに。

「初期に2つの幸運があったんです。1つはユナイテッドアローズに営業に行って興味を持ってもらえたこと。『うまいね!』と言ってくださって修理を発注してもらえるようになりました。もう1つは『Begin(ビギン)』の97年11月号で取材をしてもらえたことです。最初は編集部の方から修理の仕事をもらうつもりで訪問したところ『取材に行きますよ』と思いがけず、記事掲載につながりました」

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voice_20171031_union_1111.jpg ユニオンワークスには、当時のBeginがいまも大切に保管されている。

Beginの影響力の凄さをいまも中川さんは鮮明に覚えているという。雑誌が発売されるととにかく電話が鳴りっぱなし。受話器を置くやいなや、ベルが鳴るような状態だったそうだ。と、同時にユナイテッドアローズから続々と修理の依頼が舞い込み、ユニオンワークスはたちまち猫の手も借りたい状態になってしまった。
(後編に続く)

DATA

ユニオンワークスのホームページ http://www.union-works.co.jp/

>>[後編]はこちら

撮影/久保田彩子 取材・文/川田剛史

新たに取り付けるヒールの釘打ち作業の様子。

新たに取り付けるヒールの釘打ち作業の様子。

ヒールに打つ釘の数は靴によって異なる。たとえばエドワード グリーンでは片足で23本の釘打ちが必要となる。

ヒールに打つ釘の数は靴によって異なる。たとえばエドワード グリーンでは片足で23本の釘打ちが必要となる。

靴底を全面的に張り替えるオールソールの作業風景。「大手術なので、残っているパーツに負担をかけないよう、特に気を配ります」と中川さん。

靴底を全面的に張り替えるオールソールの作業風景。「大手術なので、残っているパーツに負担をかけないよう、特に気を配ります」と中川さん。

コンパクトな作業用の椅子と靴を固定する金属の作業台。

コンパクトな作業用の椅子と靴を固定する金属の作業台。

作業道具。左からニッパ—、くい切り2点、ピンサー、ハンマー。くい切りは釘の頭を切るためのもので、ピンサーは釘を引き抜くときに使われる。

作業道具。左からニッパ—、くい切り2点、ピンサー、ハンマー。くい切りは釘の頭を切るためのもので、ピンサーは釘を引き抜くときに使われる。

英国製のラスティングピンサー。先端で釘を引き抜くほかに、突起がハンマーの役割を果たす。写真のものは英国のシェフィールド製であることを示す刻印入り。「シェフィールドは金属製品の産地。日本製の修理道具もありますが、シェフィールドの刻印があると、やっぱり気分が高揚します(笑)」。

英国製のラスティングピンサー。先端で釘を引き抜くほかに、突起がハンマーの役割を果たす。写真のものは英国のシェフィールド製であることを示す刻印入り。「シェフィールドは金属製品の産地。日本製の修理道具もありますが、シェフィールドの刻印があると、やっぱり気分が高揚します(笑)」。

英国調の正統派のスーツも着こなす中川さんだが、作業着はやはりサマになる。ユニオンワークスの作業着はサウンドマンとのコラボによるオリジナルで、店舗やオンラインで販売されている。

英国調の正統派のスーツも着こなす中川さんだが、作業着はやはりサマになる。ユニオンワークスの作業着はサウンドマンとのコラボによるオリジナルで、店舗やオンラインで販売されている。

この日の足元はアンソニー クレバリー。

この日の足元はアンソニー クレバリー。

2025

VOL.345

Spring

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