人生初のピッティウオモ
「刺激的ですごく楽しい思い出です。会場では、中村達也と吉田周平の大先輩バイヤーに同行。忙しい二人と現場で話す機会は少なかったけれど、仕事のあとは、食事の席で大いに盛り上がりました。飲みすぎたのもいい思い出です。一番勉強になったのは、イタリアの自由なファッションの気風に触れられたことです。みなさん、杓子定規にルールに縛られているのかと思っていたらとんでもない。様々な要素をミックスしている人が、意外にも多かったのには驚きました」
帰国後、義務付けられていた出張のレポートは、行ったことがない人でも、まるで現地に行ったように感じられる点を重視。また、なにがお店に必要か? 自分を連れていってくださった方にどうすれば恩返しできるか? と考え、ショップやブースのディスプレイ、マネキンのコーディネイトなどについて、写真を交えて詳細にレポートした。一生懸命に書いたレポートだけに「みんなの役に立てるよう関西地区で資料として配布してほしい」と、上司に相談したところ、関西のエリアマネージャーが価値を認めてくれて、資料は関西のみならず全店に配信されることになった。
西口さんの東京転勤が決まったのは、レポートの配信ののち、半年から1年ほど経ってからのことだ。
コラム:西口さんの”思い出の私物”を拝見!
西口さんのワードローブから、思い出のアイテムを披露していただいた。アメカジやクラシックとジャンルは違えど、本物で普遍的な魅力を持つアイテムが揃っているのがお分かりいただけるだろう。
さて2011年に東京勤務となった西口さんだが、3年ほど経ってから現職のビームスF ディレクターに就任し、活躍中。イタリアのほか、国内の展示会を回り、つねに魅力的なアイテムに目を光らせている。
「大事にしたいのは自分たちの次の世代です。彼らの心に響く洋服を提案しないとファッションは衰退してしまうでしょう。今のお客様にも満足してもらいながら、20歳代、30歳代に向けた発信もしていきたい。これは若い感覚を持っていないとできないと思います。いまはアイテム単体をフォーカスするのではなく、トータルコーディネイトできる製品を意識しています。単品として魅力的でも、トータルコーディネイトがイメージできないものは買い付けません」
一見、変化が緩慢なように見えて、実は刻々と変化しているドレスクロージングの世界。ファッションのカジュアル化が進む中で、ドレスクロージングの価値や魅力を発信していくことはとても重要だ。さまざまなファッションを経験したことで、個性的な視点を持つ西口さんの今後の活躍に大いに期待したい。
※この記事は前編・後編にわけてお送りしました。 >>[前編]はこちら
INFORMATION
西口さん肝入りのイベントが開催される!
「STILE LATINO MORE VARIATION」
西口さんの発案で、ビームス初となる、スティレ ラティーノのモアバリエーションイベントが開催される。ジャケットやスーツ、コート、タイに至るまで、通常取り扱いのないモデルや生地などを一堂に会したイベントだ。西口さんが、愛してやまないというスティレ ラティーノ。その魅力にぜひ触れてみて欲しい。
会期:2017年10月13日(金)〜22日(日)
場所:ビームス ハウス 丸の内、ビームス ハウス 六本木
撮影/久保田彩子 取材・文/川田剛史
※表示価格は税抜き