
さらに、番外編として用意されていた姉妹ブランド、ジャガーのスポーツカー、FタイプSVRクーペも試した。
ちなみにSVRとは、2014年に設立されたジャガーやランドローバーの高性能版やビスポークモデルなど特別仕様の開発、製造を担う特設部門SVO(スペシャルビークルオペレーションズ)が手がけたモデルのこと。いわゆるメルセデスのAMGやBMWのMのような存在だ。
Fタイプクーペをベースに、カーボンを用いたエクステリアパーツや、鍛造20インチアルミホイール、さらにF1マシンなどが採用することで知られる、高耐熱、高剛性、超軽量なインコネルチタニウム製の4本出しのエクゾーストパイプを装着する。またインテリアにはSVR専用のステアリングやレザーシートなどを備える。
パワートレインは、最高出力575ps、最大トルク700Nmを発揮する5リッターV8スーパーチャージドエンジンに8速ATを組み合わせたもの。駆動方式は4WDで、0-100km/h加速3.7秒、最高速は322km/hを誇る。
駆動方式はFRをベースとした電子制御トルクオンデマンド4WDで、通常走行時は前後トルク配分は10:90とほぼ後輪駆動。いわゆる4WDのような感覚はない。路面状況によって後輪がスリップするなどすると前輪へとトルクが配分される仕組みだ。
装着されていたタイヤがスタッドレスではなく、いわゆるウインタータイヤだったこともあって雪上ではドライブモードでスノーを選んで、恐る恐るアクセルを踏みこむ。通常の圧雪路ではしっかりとグリップし意外なほどスムースに走行できた。ただし、シャーベット路や磨かれたアイスバーン状の路面では大パワーもあり、またロードクリアランスもないので注意が必要だ。しかし、白馬近くを走行しているとスキー客がみな振り返る。こんなクルマで? と思われたのだろうが今どきのスポーツカーは雪だって走れてしまうのだ。SUVももちろんいいけれど、スポーツカーでウインタースポーツや温泉旅に出かけてみるのも一興だと思う。
文/藤野太一 写真/デレック槇島 編集/iconic