
美しいボディに隠されたスーパーカー並の走行性能
高級スーツを脱ぎさると一流アスリートの体躯がみえてきたとでも言おうか。”復活した”8シリーズは、BMWの最高級クーペでありつつ、従来の同ブランド製上級クーペにはなかった骨太の”スポーツ性”を兼ね備えていたのだから……。
BMWは今、ブランドの骨幹としての”スポーツ性”を改めて強化し始めている。事実上6シリーズの後継モデルながら、そのナカミを5シリーズベースから7シリーズベースへとグレードアップ(もっとも5と7も今ではかなり近しい)した結果、GTとしてのみならず、スポーツカーとしても抜群の性能を発揮することを、ポルトガルはエストリルサーキットで行なわれた国際試乗会でひとあしお先に確認することができた。
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BMWは新型フラッグシップクーペを開発するにあたって、高性能版のM8(今夏正式デビュー予定)はもちろんのこと、純レーシングカーであるM8GTEも同時に開発を進めていた。そのため、ロードカーとしての8シリーズが正式デビューするよりも前に、M8GTEがル・マン24時間レースに登場し激しいバトルを繰り広げたのだから、そもそも8シリーズの基本的な成り立ちのなかに類い稀なスポーツ性を見つけることは容易いわけだった。
つまり、新型8シリーズはレースで実力を発揮するために必要な体幹性能をベイシックな性能として有していると言っていい。

アルミニウムやマグネシウム、炭素繊維強化樹脂(CFRP)といった軽量高剛性マテリアルを惜しみなく活用したハイブリッドボディや、高級FRクーペとしては異例に低められた重心の高さ、全身をつらぬく考え抜かれたエアロダイナミクス、さらには大排気量エンジン搭載のFR車両では珍しい前後重量配分50:50の実現など、8シリーズの主戦場がきらびやかなホテルやプロムナードだけというのであれば決して辿りつけなかったであろう高性能が、そこかしこに散りばめられている。