ポルトガルにて試乗!

最高出力340ps、最大トルク500Nm、0→100km/h加速4.5秒の実力を試すべく、ポルトガルで開催された国際試乗会に参加した。試乗車は最上級グレード「Z4 M40i」である。
試乗車のボディカラーはすべてマットグレー。足元にはオプションの19インチタイヤ&ホイールを履いていた。アダプティブMスポーツサスペンションやMスポーツデファレンシャル、Mスポーツブレーキといった、Mモデルかと見まがう走りのアイテムも標準で装備する。なるほど見映えからしてエレガントさとは無縁の存在で、むしろスパルタンと言いたくなるほどの雰囲気をまとう。

巨大なモニターを中央に配したコクピットは新世代のBMWインテリアスタイルで、伝統に則ってドライバーオリエンテッドな傾きが与えられていた。シフトノブまわりのデザインも8シリーズと同様の新しいレイアウトとし、ちょっと見づらく使いにくい点もあるが、全体的に豪華さが増している。
まずはコンフォートモードで新型Z4のお手並み拝見といこう。
全体的にかっちりとした骨組みの強さを感じるあたり、オープンカーといえどもさすがに最新のBMWというべきだろう。多少の凹凸もきれいにいなしつつ、自然でダイレクト感のあるステアフィールをキープし続けるあたりもまたBMWらしさだ。窓をめいっぱい上げて、前屈み気味のウィンドウディフレクターを立ててやれば、室内への風の巻き込みも最小限に抑えることができる。
GTカーとしても案外イケているかも、なんて思いつつ、開発陣はリアルスポーツカーを造ったと胸を張っているのだから、それを試さないわけにはいかない。モードをスポーツ+に入れてワインディングロードを目指した。
いっきにハンドルが重く引き締まった。サウンドも俄然、ワイルドに。ヌケのいいストレート6のエンジンフィールはそのままに、胸を空く加速をみせる。”なんて気持ちいいんだ!”、と思わず叫びたくなった。足元は少し硬くなるけれども全くもって不快な感じはしない。むしろ、引き締められた下半身のおかげで、路面からのショックを収める時間も短く、かえって心地良く走っているとさえ思えた。


ダイレクトかつ意のまま感のあるステアリングフィールに対して、リアの滑り出しはかなりクイックでひやりとする場面もあった。ウデさえあれば簡単にドリフティングも楽しめることだろう。このあたり、スープラとの”兄弟性”の現れか。
エレガントな旧型も未だ捨て難いけれども、スポーツ性の主張にブランドとして再び力を入れ始めたBMWの最新オープンカーもまたファンなクルマだ。何なら新旧並べて持つのもアリだと思うに至ったが、そこまでBMWフリークではないので、やっぱり乗って楽しい新型オシとしておこう。
文/西川 淳 写真/BMWジャパン 編集/iconic