

インテリアは一気にモダンになった。中央の回転計だけアナログのまま残され、その左右に7インチモニターを並べたデジタルメーターパネル、ダッシュボード中央の10.9インチタッチスクリーン、そしてマニュアル変速の際の操作はシフトパドルに任せ、シンプルなスイッチとされたシフトセレクターなどによって、グッとハイテク感が高まっている。
しかしながら往年のファンなら、きっと気づくはずだ。デジタル化されたとは言え5つの円形ダイヤルが重なり合うことなく並べられたメータークラスター、水平基調のダッシュボードの造形が、空冷時代の911から引用されたものだということに。豊富な歴史の引き出しの中から効果的なモチーフを取り出し、最先端の機能性と両立させた、その手腕は見事。結果、そのドライバーズシートに座ると、何の抵抗感もなくすぐさま、自分が911のコクピットに居ることを実感できるのだ。
さて、デザインと並んで気になるのはやはりその走りの進化である。しかしながら実は今回の発表に際しては、主要諸元やメカニズムに関する発表は、ごく限定的なものに留められている。

発表されたのは、まず登場したカレラSとカレラ4Sが、いずれも燃料噴射系、ターボチャージャーなど広範に改良が加えられた水平対向6気筒3.0?ターボエンジンを搭載すること。最高出力は現行モデルの30ps増となる450psに達し、そこにギア段数が1段増えた8速PDKが組み合わされる。後輪駆動のカレラSに、各種走行モードの切り替え、ローンチコントロールなどが備わるスポーツクロノパッケージを組み合わせた場合、0-100km/h加速は3.5秒、最高速は308km/hとなる。
もちろんベーシックなカレラ、カレラ4も続いて登場するだろう。こちらも同様のパワーアップを果たせば、最高出力400ps級となるはずだ。マニュアルギアボックスも遅れて設定される。こちらは現在と同様、7段となるのが有力だ。