
そして787初号機脇にしつらえたラダー(階段)を登っていけば、フェイクではない本物の「ボーイング787のコックピット」を見学することができる。よくある消灯状態のコックピットではなく、すべての計器類が実際の飛行時と同じように点灯している点に、ヒコーキ好きであればグッとくるはずだ。だが、「いくら本物のコックピットとはいえ、見学するだけではつまらない。たとえば実際に操縦できたりはしないのか?」と、そんな困ったことを言いだす人もいるかもしれない。さすがに787を素人に操縦させる施設など世界中のどこにもないが、ここFLIGHT OF DREAMSでは、それにきわめて近い状況を作り上げることはできる。完全プロスペックのフライトシミュレーターだ。

これは博物館などによくある遊戯的な簡易シミュレーターではない。本職のパイロットの方々が使用しているのとまったく同じシミュレーターが、ここにあるのだ。そしてそれにあなたが「機長」として左側座席に乗り込み、本職パイロットの方に「副操縦士」として右座席に付いてもらいながら、文字どおりリアルに「操縦」できるのである。ただ、当然ながらこのシミュレーターは恐ろしいまでに人気が高い。当日行って「やらせてください」と言っても絶対に無理なので、おそらく1カ月以上前には予約しておく必要があるだろう。
さて。大人ならではの「旅とクルマ」というよりは「ヒコーキオタクの現場レポート」のようになってしまったため、お読みの方はいささか疲れたかもしれない。わたしも、見どころが多すぎて正直やや疲れた。

ということで「SEATTLE TERRACE」へと移動し、日本初上陸となったシアトルで大人気のチーズ専門店「Beecher’s Handmade Cheese(ビーチャーズ ハンドメイドチーズ)」でチーズを買い、「BOEING STORE」でマニアックな土産物を購入するなどしたうえで、今宵の宿へと移動したい。
そして明日また、フォレスターとともに「ヒコーキを巡る旅」へと出発してみる所存だ。
<つづく>
文/伊達軍曹 撮影/大子香山 構成/iconic