外しの美学を備えたSUV+α
ルノー カジャー
仕立てや走りもフレンチ流(写真3枚)
グローバルで見渡すとやはりどのカテゴリーでもC&Dセグメントが強い。人気のSUVも同様だが、一方で似たようなデザインのクルマも増えている点も否定できない。
「ドイツ御三家も魅力的だけど、人とは違うライフスタイルやテイストを味わいたい」ならばイタフラ(イタリア車&フランス車の略)という選択肢はアリだと思う。
その中でルノーが日本にもやや後れて投入したカジャーは非常に面白い。
プラットフォームこそルノーと日産が共有する「CMF C/D」を使っているが(日産ではエクストレイルに採用)、デザインやパワートレーンは全く別物。1.2リッター直4のダウンサイジングターボエンジンに7速AT(7EDC)を組み合わせ、駆動方式もFFのみという割り切りも実用性重視のフランス車ならでは。
走りに関しても車両重量が1.5トンを切る事もあり、パワフルではないが、必要十分な加速。ややオーバースペックに感じる19インチタイヤからの入力は時に固く感じる事もあるが、コーナリング時のしなやかなテイストはこれまた国産車では味わえない感覚だ。
インテリアも良い意味での割り切りはあるが、全席本革仕様でドライバーズシートには電動調整機構も付く。ルノー車は総じてシートの座り心地が良いのが美点だが、このカジャーも同様で着座した瞬間は張りの強い本革でありながら身体がゆっくりとシートに沈み込んで行く。それでいてサポート性能はしっかり確保している点も快適性に一役買っている。
ラゲージスペースも527リットルと大容量、ラゲージ側から6:4のリアシートをワンタッチで倒せる機構の他、2枚のラゲッジフロアボードを上下などに組み合わせる事で5種類のシートアレンジを可能にする。この辺も他社とは異なるアプローチなのが面白い。
先進安全装備などは国産車やドイツ御三家と比べるとやや見劣りするが、冒頭に述べたように「たまにはフレンチ料理もいいよね」そんな肩の力を抜いて楽しめるSUVといるだろう。