新型「V60」のパワートレインは?(写真2枚)
パワートレインは、2リッター4気筒ガソリンターボ「T5」にアイシン製8速ATの組みあわせたものだ。来年には「T6」と「T8」の2種類のプラグインハイブリッドの4WDモデルの導入を予定する。ディーゼルは、今後はXC60より車重の重いモデルに採用し、V60ではプラグインハイブリッドを戦略的な価格設定にして推し進めていく計画という。

最高出力254PS、最大トルク350Nmを発揮する「T5」ユニットは、すごくパワフルというほどではないが必要十分なものだ。エンジンノイズや風切り音などもうまく抑えられていて静粛性も高い。グレードは装備仕様の違いによって、ベーシックな「Momentum」と上級の「Inscription」の2種類の設定がある。テスト車両は後者にオプションの19インチタイヤと電子制御シャシーFOUR-Cを組み合わせており、コンフォートからスポーツまでいくつかの乗り味の切り替えが可能だった。いずれのモードでも過剰にスポーティな演出はなく、自然で穏やかな動きが印象的だった。
インテリアは、ファインナッパレザーのシートやナチュラルな質感をもったウッドパネルの組み合わせで、競合のジャーマンプレミアムメーカーとは一線を画す、いかにもスカンジナビアンデザインを体現したものだ。いまボルボは世界的に販売好調で2017年には過去最高の約57万台を記録している。ボルボ車の好セールスはエクステリアデザインの進化のみならず、インテリアの品質向上も大きく寄与しているはずだ。

また”最新のボルボは、最善の安全”を標榜するだけあって、ADAS(先進運転支援システム)も進化した。90シリーズのもつ最新機能に加えて、新型V60では新たにCity Safety(衝突回避・軽減フルオートブレーキシステム)に対向車対応機能を追加。これは国内の死亡事故原因の約3割を占める正面衝突に際し、対向車との衝突が避けられないとシステムが判断すると、自動的にブレーキをかけて衝突エネルギーの軽減を行うものだ。ボルボは数年前から「2020年までに新しいボルボ車が関わる事故による死者・重傷者をゼロに」というビジョン2020を掲げているが、その実現に向かって着実に進化しているようだ。またACC(アダプティブクルーズコントロール)やパイロットアシスト(車線維持支援機能)も進化しており、より自然なアクセル、ブレーキ、ステア操作を行ってくれる。高速道路などでの長距離移動ではさらに効果を発揮するだろう。
ボルボの大本命といえる正統派エステートが日本にもやってきたというわけだ。
文/藤野太一 撮影/河野敦樹 構成/iconic