
一週間後、箱根で今度は試乗会が行われ、ようやく自分でメガーヌR.S.のステアリングを握ることができた。まずはタイトコーナーの連続する峠道で試してみたのだが、フツーの速度でも段差へのアタリが柔らかく、その乗り心地は高級感さえ感じさせるほど。
しかし一度、モードをスポーツに切り替えて速度域を上げると、逆位相の効きのおかげで、あらゆる低・中速コーナーを舐めるようにトレースしてくれる。試しにレース・モードにしてESPを切ってみた。見通しのいい低速コーナーで旋回速度を思い切り速めてみると、確かにリアのグリップがフロントより先に少しだけ離れていく印象で、穏やかに巻き込んでいく感触が得られた。なるほど、確かにこれなら楽しめそうだ。
加えてトドメの一撃というか空恐ろしいのは、メガーヌR.S.は車両本体価格440万円で、なんと国産メーカーのライバル車種であるシビック TYPE Rより安い。何となく、時代の節目を感じさせる一台であることは間違いない。
撮影・文/南陽一浩 編集/iconic