ルノー・メガーヌR.S.のボディ(写真2枚)
「ボディの基本構造はノーマルのメガーヌと同じものを用いることは開発当初から決まっていたので、5ドアでR.S.に発展せられるだけの高剛性は確保していました。ルノーは上位ラインナップですでに10年以上も4輪操舵システムを扱っています。ただし、それらはコンフォート・安定性志向だったので、スポーツやパフォーマンス方向に応用するのは4世代目のメガーヌR.S.が初めてです」と、エンジニアのフィリップ・メリメ氏は語る。

メガーヌR.S.がフツーのメガーヌと違う点は、まず足回り。フロントには「ダブルアクスル ストラット式サスペンション」が奢られている。これは大トルクFF特有の、操舵中のアクセルオンでステアリングに急激な反力がかかるトルクステア現象を解消しつつ、伸び・縮み幅が大きくなっても安定した接地性と方向舵を確保できるというものだ。
もうひとつ重要なのが「ハイドローリック・コンプレッション・コントロール(HCC)」という、油圧ダンパー内にもうひとつのダンパーを備えた構造だ。フルに縮もうとする直前に、もうひとつのダンパー室に閉じ込められたオイルが徐々に押し出され、2段階目の減衰力が発生して強い振動や衝撃を抑える。つまり比較的柔らかい設定が可能なので乗り心地に優れるが、限界域でもコントロールしやすく荒れた路面にも強いのだ。

加えてメガーヌR.S.は、リアにも操舵角が最大2.7度つく、ルノー独自の4輪操舵システム「4 Control(フォーコントロール)」を備えている。ドライビングモードで「ニュートラル」か「スポーツ」を選んでいる間は、車速60km/h以下では後輪側は逆位相へ、逆にそれ以上では同位相に切れる。ちなみに「レース」モードでは、逆位相・同位相の閾はより高速側、100km/hにまで上げられる。