ホンダ アコード
意外と知られていない、驚きの燃費性能と走り(写真3枚)
「かつての栄光、今何処」こう書いたら関係者にお叱りを受けることは間違いないが、北米を中心にグローバルブランドとして高い人気を誇っているのがアコードである。
9代目となる現行モデルは2013年5月に登場しているが、現在販売されているのは2016年5月に大幅改良が加えられたもの。実際、内外装を初め後述するハイブリッドシステムの進化などフルモデルチェンジ並みの変更を受けている。
国内においては過去、セダンの他3ドアハッチバック、さらにはステーションワゴンやクーペまでもラインナップし、シビックとともに国内市場を牽引してきたアコードではあったが、同門のステップワゴンやフィットの大ヒット、さらに言えば車両自体のサイズアップも含め、時代が求めるニーズとの間に違いが生じてきたことが販売減に影響しているのだろう。
しかし改めてチェックするとアコードのスポーツセダンとしての実力は侮れない。まず基本となるハイブリッドシステムが素晴らしい。ホンダは現在3種類のハイブリッドシステムを持っているが、アコードには「SPORT HYBRID(スポーツ ハイブリッド)i-MMD」という2モーターのシステムを搭載している。
概念的には「シリーズハイブリッド」に分類されるが、ガソリンエンジンは通常発電に使用し、極力EV(電気自動車)的に走ることができる。一方で高速道路などではエンジンとトランスミッションを直結することで効率よく走行、もちろんハイブリッド走行も可能で、最近ホンダは「3モードパワートレーン」とアピールしているが、実際の走行フィーリングも上々だ。
前述したように市街地など多くのシーンをモーターでカバーすることでカタログ燃費はJC08モードでリッター30.0km(上位グレードのハイブリッドEX)、さらに実走でも約リッター20km(おまけにレギュラーガソリン仕様)をマークするなど、このクラスとしてはすこぶる良い。
またエンジンがかかっている状態での静粛性が高く、ハイブリッドモードでの加速フィールはダイレクト感があり、力強いのが特徴だ。「ハイブリッド車は加速フィールが緩慢」というのはこのクルマには当てはまらない。先進安全装備に関しても「ホンダセンシング」により8つの機能を搭載している。
もともと上級セダンという位置づけであるので「峠を攻める」と言った方向性とは無縁だが、路面をしっかり捉えた腰のあるハンドリングや乗り心地の良さ、そして快適性の高さ(大人4人がゆったり乗れ、ゴルフバックも4つ積載できる)などは大人のスポーツセダンとして十分オススメできる。
補足だが、もともと高い渋滞回避性能を持つ「インターナビ」対応のカーナビゲーションシステムを標準搭載するほか、世界で初めて信号情報活用支援システム(その先にある交通信号の情報を車内に表示し推奨通過速度などを提示する)に対応するなど先進性も極めて高い。将来の自動運転時代に向けてこれからのクルマはどうあるべきかを提案している点もこのクルマの隠れた魅力のひとつなのである。