意外と万人受けしそう

颯爽としていてアクティブという雰囲気を全身から漂わせたX2の走りは、想像通りやんちゃな味付けとなっている。ステアリングを切り込むと間髪入れずに鼻先が内側を向こうとし、ハードにセッティングされたサスペンションがロールを抑えてその動きを助ける、初期応答性重視のフットワークだ。
ただし、そのステアリングは操舵感がナチュラルではないし、キュッと鋭く曲がり始めるわりにはすぐにタイヤが鳴き出すし、路面のうねりやギャップで簡単に進路が乱れるなど、わかりやすいスポーティさはあるけれど、気持ちの良い場面は選ぶ。
元々、このX2が使う前輪駆動もしくはその派生版としての4輪駆道を用意する車体の基本骨格は、X1や2シリーズ アクティブツアラー/グランツアラーを見ても、あるいはMINIクロスオーバーなどを見ても、「BMWがFF?」なんて絶対に言わせないぞとばかりにグイグイ良く曲がるよう作られている。X2ではもっともっと……というムードになったのだろうが、家族や仲間と遊びに出かけたいのがSUVだと考えると、もう少し穏やかな方がいい気がする。気になる人は、今回試せなかった17インチタイヤを履くベーシックモデルなども検討するといいだろう。

2リッターターボエンジンはわずか1350rpmという低回転域から280Nmの最大トルクを発生するだけあって、実用域からとても力強く感じられる。それには、エンジンの美味しいところを巧みに引き出す8速ATの貢献度も大きい。それでいて、いざアクセルを深く踏み込めば、高回転域まで気持ち良く吹け上がる辺りは、さすがBMWだ。
X2の住居性と収納性(写真2枚)
SAC第一弾のX6がデビューした時のようなインパクトはないし、後席の居住性より思い切りデザインに振っても良かったのでは? という思いもなくはないが、一方でX2には、全高を拡大した新型X1に代わって、多くのタワーパーキングへ入庫可能なモデルとしての大事な役割がある。それなりの居住性、収納性もセットで考えられたなら、こういうクルマになるのは必然だし、きっとトンガッた打ち出しとは裏腹に、幅広い層に訴求することになるのだろう。
ともあれ、クーペなんて好き嫌いで選べばいいクルマである。ここに何が書いてあろうが気に入ったら買い。思い立った時すぐに乗るべき1台が、このX2である。
文/島下泰久 撮影/茂呂幸正 編集/iconic