
2大派閥と新興派閥の対決
21世紀になると、SUVカテゴリーに新しい流れが誕生する。それが乗用車から派生したタイプだ。スタイルこそピックアップトラックの派生タイプを模しながらも、乗用車のプラットフォームを使うことで、当初から快適性を持ち合わせており、気軽に乗れるモデルとして広まっていった。
ピックアップトラックの派生タイプに比べると悪路走破性は劣るが、電子制御による4WDシステムによってその弱点をフォロー。快適性と走破性のバランスは、各ブランドや各モデルによって異なるが、スポーティな走りと、スタイリッシュなデザインといった味付けが加わっていく。
現在のSUVは、この乗用車派生タイプが主流。その流れをうけて、軍用モデルからスタートしたランドローバーやジープは近年になって、ヘビーデューティなモデルだけでなく、乗用車派生モデルをラインナップに加えている。また、同じ軍用車から派生したランドクルーザーには、ピックアップトラックから派生したハイラックスサーフをベースにしたランドクルーザープラドが加わった。

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いずれにしても、昨今のSUVはスタイルこそ似ているものの、そのルーツを辿ることで、各ブランド、各モデルで味付けや方向性などに明確な違いが見えてくる。それらは乗り味の違い、スタイル、そして価格帯に現れているのだ。
この連載では、そんな生い立ちを探ることで見えてくるSUV選びの極意に迫ってみたいと思う。そこで次回は、日本製SUVの中でもその手軽さと性能の高さから注目を集める最新SUVを掘り下げていこう。
文/吉田直志 編集/iconic