“大事を始めるには、まず手近なことから始めよ”、と教える中国の故事「隗より始めよ」。本連載では、”良い関係を築くには、まず一緒に食事しよう”との発想のもと、達人たちのリアルな会食術を掘り下げる。

「おそうざいと煎餅もんじゃ さとう」の変わりもんじゃを美味しく仕上げるには多少のコツが必要だが、ディナー時には注文したもんじゃをすべてお店側が焼いてくれるので安心(※ランチではセルフサービス)。ちなみにコチラは、カレー好きの店主・佐藤幸二さんがタイの名物”プーパッポンカリー”にヒントを得て生まれた蟹玉アジアンカレーもんじゃ」(1800円)。ナンプラーや蟹味噌入りで、思わずお酒が進む。
今月の”会”の達人

サマリー
CEO 山本憲資さん
1981年生まれ。一橋大学卒業後、電通に入社。その後、コンデナストジャパンにて雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。2010年にサマリーを創業。近頃は画期的な収納サービス「サマリーポケット」で注目を集めている。
一緒に何かをすると距離はぐっと縮まる
「美味しい店を知っていると、いろんな人と知り合える可能性が一気に広がる」。豊富な人脈が物を言う雑誌編集者だった頃にその実感を得たという「サマリー」CEOの山本憲資さんは評判を聞きつければ国内外問わずに足を運ぶ〝食道楽〞。今回、一押しの会食場所を訊ねると、東京・代々木八幡にある「おそうざいと煎餅もんじゃ さとう」を挙げてくれた。真っ白い暖簾がかけられたその佇まいはいかにも惣菜屋然としているが、実は奥に小さな座敷が設けられていて、メニューには「アゼルバイジャンニラ玉もんじゃ」や「イタリアもんじゃ」など〝変わりもんじゃ〞が並ぶ。意外性のある一軒だ。
「私は関西出身なのでもんじゃにはつい懐疑的な目を向けてしまうのですが、ここのは別。料理と呼ぶに相応しい逸品です」(山本さん)
同店を手掛けるのは、ポルトガル料理店「クリスチアノ」をはじめ話題店を生み出してきた佐藤幸二さん。多彩なアイデアの持ち主ゆえ、食を通して記憶に残る時間を演出するのはお手の物かもしれないが、それにしても〝会食でもんじゃ〞とは意表を突いた展開だ。
「私にとって会食とは相手の懐に入らせていただく機会。一緒に鉄板をつつくことで距離がぐっと縮まるんです。味は間違いないし、カジュアルな雰囲気が許される会にはもってこいですね」(山本さん)
“会”を成功に導くには 相手の懐に入れる店をチョイスする