今後しばらくは併売が行われる新旧Gクラス。あくまでも新型は”マイナーチェンジ”という全面刷新だが、さぁ、どっちがどっちだか、”分かる”だろうか?

40年目に向けた新型「Gクラス」
最高級オフローダーの代名詞である「Gクラス」の新型ローンチイベントが6月6日、東京・六本木のブランド発信拠点Mercedes-Meにて行われた。Gクラスといえば1979年に、NATO軍が制式採用している軍用車「ゲレンデヴァーゲン」の民生モデルとして誕生。タフネスな悪路走破性と堅牢なボディ、そして、何より40年を経ても変わらないボクシースタイルを特徴とする、世界最高峰の高級オフローダーである。”ゲレンデヴァーゲン”→”Gクラス”へと名称が変更されても、今なお親しみを込めて”ゲレンデ”と呼ぶ人は多い。
顧客リストにはローマ法王から中東の国王、スポーツ選手などの世界的スターをはじめとした名だたるセレブが名を連ねる。日本においても、然りだ。オーバースペックで、武骨なスタイルをもつGクラスは、そのギャップからファッショナブルな都会派SUVのアイコンとしても脚光を浴びてきた。

そして”変わらないこと”で独自スタイルを貫いてきたGクラスが、ついに新しくなった。先代と新型を見比べてみて、その違いがすぐにわかる人は余程のクルマ好きか、リアルオーナーぐらいではなかろうか。スタイルはキープコンセプトに徹している。
新型「Gクラス」の丸型ヘッドライトとサイドウィンカー(写真2枚)
アイコンでもある丸目2灯ヘッドライトに加えて、ボンネット左右の箱型サイドウィンカー。スクエアなボディワークと、渡河限界ラインを表すサイドモール、背面のスペアタイヤは健在だ。誰が見てもGクラスである。
しかし、実際には空力特性を考慮して曲面が用いられたエクステリアや灯火類のLED化などを絶妙に採用している点が大きな特徴である。聞けば、外装部品では、従来型から踏襲されているのは、ドアハンドルとスペアタイヤカバー、ヘッドライトウオッシャーノズルのわずかに3点という。ボディサイズも先代比で53mm長く、121mmワイドと若干大型化。車両重量は約170kgの軽量化に成功している。
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基本骨格は従来型同様のラダーフレームを踏襲するが、サスペンションは、先代が前後ともリジッドサスペンションだったのに対して、新型はフロントサスペンションをダブルウィッシュボーン式に変更。ステアリングは伝統のリサーキュレーティング・ボール式から電動アシストのラック&ピニオン式となったことでステアリングフィールが向上している。
新型「Gクラス」のねじり剛性やオフロード性能は?(写真2枚)
従来モデルでも最強と言われたオフロード性能はさらに向上。走行モードに、最大限の悪路走破性を確保する「Gモード」を追加している点も見逃せない。弱点であったオンロード性能も大幅に引き上げられ、走行時の静粛性も高められているというから、その進化のほどは、”生まれ変わった”という言葉が最もふさわしい。
これまで基本骨格や機構は変わらずとも、エンジンや内装の中身は時代とともにアップデートされているのだが、それでも今回のような改良とまではいかなかった。それでも、新型Gクラスの型式は、従来と同じW463型を踏襲するという。これについては、メルセデス側からは特にアナウンスはなく、あえてマイナーチェンジやフルモデルチェンジとも謳っていない。自分たちのヘリテージを”変える”ことの難しさがあるのかもしれない。