

アネスト岩田ターンパイク箱根(以下、ターンパイク箱根)をプロトタイプレーシングカーが走る。そんな奇想天外なイベントが6/18に開催された。
ル・マン24時間耐久レースの熱も冷めやらぬ月曜日の雨の箱根に現れたのは、昨年のル・マンを制したポルシェ919 hybridをベースに開発されたEV、ポルシェ919 tribute。

特別に許可を得て走行する一度だけの機会に同行取材した印象は、一言で言い表すとテレビゲームの世界。というのも普段乗用車が走っている箱根の道に突如現れたポルシェ919 tributeの風景とのミスマッチは、あいにくの雨と霧に包まれた景色も相まってとても現実世界のものとは思えないものだからだ。

ポルシェ919 tributeを運転した影山正美選手は「(神奈川県出身ですから)プロドライバーになる前の若い頃に走っていた箱根を、919で走るというのは感無量ですね。人生こういう事が現実にあるんだなと。(笑) ターンパイクを上から降りてきた時にフロントスクリーンの上にポルシェと書いてある、サーキットで走るクルマそのもののインテリアのままにガラスの向こうに箱根湯本の街が見えるなんて事が現実で起きていいのか。本当に良い経験をさせてもらいました。」と仰る。

FIA WEC LMP1クラスで無敵の強さを誇った919ハイブリッドの栄光を間近に見れる、全世界を廻る919 tribute tourのひとつとしてターンパイク箱根を走ったのがこのイベント。

919ハイブリッドで培った電動化技術を投入するポルシェの電動化モビリティへの挑戦はMission E改めタイカンと名付けられた同社初めての量産EVの発売だけでなく、パナメーラシリーズのフラッグシップに設定されるパナメーラ ターボS Eハイブリッドや、近いうちに登場する新型911にも追加される予定というハイブリッド仕様など、全方位戦略で推し進められる。
動力源が内燃機関からモーターに移ってもポルシェはポルシェであり続ける。そんなメッセージが919 tributeには込められているようにも見えた。




写真・文/サステナ編集部