
ウルスの国際試乗会は、イタリア・ローマ近郊のヴァッレルンガサーキットで行われた。テストステージは三種類。サーキット(22インチ+カーボンパッケージ)と一般公道(23インチ)はもちろん、オフロード(21インチ+オフロードパッケージ)も試すことができた。
まずは、一周4.1kmのサーキットで、ダイナミック性能を試す。エンジンスターターボタンを押し、パドルシフトを引いて一速に。スタートだ。
タンブーロはコルサにセットしてある。ピットレーンを飛び出た瞬間に、クルマの軽さを実感した。ハンドルを左右に振った際の動きがとてもピュアで、巨体をまるで感じさせない。視界が高いのに、重心が低く、不安感もまるでなし。
直線でフルスロットル! すさまじい加速だ。けれども、途中から速度感をなくす。サウンドがさほど野蛮でないことと、車体が安定しているからだ。メーターを見ると、すでに200km/hを軽く超えていた。そのまま高速コーナーにつっこむことはちょっと躊躇われたけれど、先導するプロドライバーが速度を落とす気配はない。ええい、ままよ、とそのまま付いていけば、思いのほか気持ちよく抜けていく。最新の車体制御のおかげである。ヘアピンカーブのようなタイトベントでは、とにかく面白いように内を向いた。その間、姿勢はフラットを保つから、ここでも安心して攻めこんでいける。
ランボルギーニ ウルスのインテリア(写真3枚)
次に一般道へ。広い道と街中の狭い道が交互に現れるステージ。そこでのウルスは、とびきりの”乗用車”だった。タンブーロはストラーダもしくはスポーツで、乗り心地はややソリッドさが優るもの。ちょっと昔の欧州車を思い出させる。23インチという大径タイヤでも、乗り心地は悪くない。しかも、ハンドルを切ればクルマの先端までドライバーの意思が伝わっているかのように動いてくれるから、ここでもまたクルマの大きさを感じることがない。ランボルギーニをドライブしているということさえ忘れてしまうほど、快適なドライブを楽しんだ。
もっとも、ちょっと前が空いた頃合いを見計らってアクセルペダルを思い切り踏み込んでみれば、その加速のすさまじさはサーキットで体験した以上だ。車体がふわっと浮いた感じがしたかと思うと、即座に後から蹴飛ばされたかのような加速をみせた。そして、サーキットよりも反響するからだろう、排気音もすさまじい。これぞ正に、ランボルギーニらしい凶暴な”速さ”と”サウンド”、だ。
ランボルギーニ ウルスでオフロードコースを走る(写真3枚)
最後にオフロードコース。タンブーロはテッラ(砂利道)モードに。滑り易い道でも、4輪の接地感がしっかりとあるから、怖がることなくアクセルペダルを踏んでいける。凸凹が続いてもフラットな姿勢を保とうとするから、視線も安定し、荒れた道でも運転しやすくなるのだ。大きめのコーナーを、滑らせながら駆けぬける楽しさといったら!
オフロードでその本領を発揮する、ウルス。実際のオーナーが、オフロードに行くとは思えない。それは、スーパーカーでサーキットを楽しむ人が少ないことと同じ。現代のスーパーカーはレーシングカーに負けない性能を誇っている。ウルスも、実際には使わないかもしれない、素晴らしいオフロード性能を有している。けれども、それは決してムダではない。本物の性能を持っていることが、真のハイエンドラグジュアリィカーの価値なのだから。
ランボルギーニ ウルス
ボディサイズ:全長5112×全幅2016(ミラーを除く)×全高1638mm
エンジン種類:V型8気筒ツインターボ
エンジン排気量:3996cc
最高出力:650HP(478kW)/6000rpm
最大トルク:850Nm/2250-4500rpm
最高速度:305km/h
0→100km/h加速(0→62MPH):3.6秒
車両価格:2574万円(税抜き)
文/西川 淳 構成/iconic