試乗車は日本導入記念に全国300台限定で発売された「T5 AWD R-Design 1st Edition」だった。前評判もよく、既存のボルボオーナーではない新たな顧客層からの引き合いも多いようで、すでに完売したという。
パワートレインは252馬力の2リッター4気筒ターボエンジンと8速ATの組み合わせ。背の高いSUVであることを忘れさせるほど軽快に走る。R-Designモデルは、足回りをかたくしたスポーティな仕様だが、意外なほどゆったりとロールし、フロアの振動も抑えられているためとても快適だった。この限定車は20インチの大径ホイールを履いていたため荒れた路面などで時折かたさを感じる場面もあったが、標準モデルは17~19インチサイズなので、よりしなやかな乗り味のはずだ。
いまこのクラスのSUVは、雨後の筍のごとくニューモデルラッシュだ。悪路ではなく都市で使うことを想定してFF(前輪駆動)だけでグレード構成するブランドも多いが、ボルボはあくまでAWD(四輪駆動)をメインに据えている。カジュアルで軽快な見た目だが、使い勝手のよさ、安全装備の充実ぶりなど、その実はとても真面目な末っ子なのだ。ある意味、現代の小さな高級車といえるかもしれない。
文/藤野太一 撮影/柳田由人 編集/iconic