
プラットフォームは姉妹ブランドであるレンジローバー イヴォークのものを共用する。本国には前輪駆動モデルもあるが、日本仕様は4WDの設定のみだ。エンジンは2リッター4気筒で、250馬力と300馬力の2種類のガソリン仕様と、少し遅れて180馬力のディーゼル仕様が導入される。
試乗用に用意されたのは250馬力仕様で、2018年モデルにのみ設定される豪華装備の”ファーストエディション”だ。最近はさまざまなメーカーが新型モデルを発売する際にこうした導入記念グレードを設定しており、充実した装備内容で人気を呼んでいる。
ジャガーが”スポーツカーのようなドライビングパフォーマンス”と謳うように、乗り味はとてもスポーティだ。ステアリングを切り込む際の手応えも軽快というよりは適度な重さがあって、まるでスポーツカーのようだ。ベースモデルが17インチなのに対してファーストエディションは20インチの大径ホイールを標準装備するため、硬い乗り心地を想像していたが、意外にも良好だった。ボディ剛性をより強化したというがその効果だろう。フロアの振動も抑えられており、室内の静粛性も高かった。

ジャガー初採用となる9段ATは実に滑らかで、街乗りをしている限り変速を意識することはない。また4WDシステムは電子制御式で、例えば前輪が滑るような状況になれば、自動的に後輪の駆動力を増やしてくれるオンデマンドタイプだ。これもドライバーが意識する場面はそうないだろう。よりスポーティに運転したいときにはシフトレバーの横にあるドライブモードスイッチでダイナミックモードを選べばいい。アクセルレスポンスはより鋭く、ギアシフトはより高回転域で行われるようになる。
“ベイビージャガー”というけれど、その中身はしっかり大人顔負けの成熟ぶりだ。

文/藤野太一 撮影/柳田由人 構成/iconic