
「たぶん、格好よすぎないところに惹かれたんです。気取った感じがないから、スーツに合わせてもいい具合に”抜け”が生まれるんです。で、実際に履いてみるとすぐにフィジカルなよさもわかった。自分は腰痛持ちなのですが疲労度がもう、全然違うんです」
カラバリの充実も他ブランドにはない魅力
かくしてニューバランス党となった栗野氏は、程なくしてさらなる魅力に気づくこととなる。魅力とは、色。
「今日穿いているチノパンツの色味は、ピンクっぽいベージュ。すると相性のいいシューズは、ベージュかピンクかバーガンディ、となるわけです。それで今日はバーガンディの一足を選んだのですが、バーガンディとかオレンジとか、グリーンの靴が履きたいと思った際に選べる靴なんてニューバランスくらい。カラーバリエーションの豊富さは他にない魅力ですね」。
ちなみにバーガンディは、ネイビーやグレーとともにニューバランスがキーカラーとして設定している色。白か黒が定番のスニーカーシーンにおいて、このキーカラー設定はかなりトリッキーな姿勢に思えるが栗野氏はこれを「イギリス文化の名残なのでは?」と考察する。
「ネイビーもグレーも、バーガンディも英国のクラブユニフォームの色ですよね。ニューバランスの本社があるボストンは英国移民が最初に辿り着いた東海岸の地ですし、影響があって当然かと。ブルックス ブラザーズも東部が出自ですが、ニューバランスがキチンと装う意識をもった大人に愛される背景には、そんな下地も関係あるかもしれません」
真っ当なモノ作りへの姿勢にも共感する
ニューバランスの工場を訪れたことがある栗野氏は、企業のフィロソフィーにも共感するものが多いという。
「米国製のスニーカーを今なお作り続けている企業は、ニューバランスくらい。工場には親子2代、3代で職人という人達もいてニューバランスで働くことを誇りに思っている。そして会社も、職人を大切にしている。モノ作りの姿勢が真っ当で、それが品質にも表れていますよね。ただし、仕様の違いはあれども米国製は作りがよくアジア製はNG、などということはないので自分は生産国を気にしての買い物はしません」。
ニューバランスはまた、リアルを重んじる価値観にも合致すると栗野氏。
「高価で素敵なクツも山ほどありますが、ニューバランスのスニーカーは手が届く価格ながら素材も品質もよく、そもそも履き心地は最高。企業の姿勢にも共感できるとなれば、履きたくなりますよね。ニューバランス好きは、皆さん同じ思いなのでは?」。