「背広散歩」旗揚げメンバーから学ぶ、装いの整え方と愉しみ方
スーツ愛好家たちが実践する「マイルール」

M.E.で取材協力をさせていただいた3月20日開催の「背広散歩 第5回~東京丸の内・特別編」。主要メンバーに自慢のスーツでお集まりいただいた。彼らが普段、意識している装いのポイントをその着こなしと併せて取材。次回、下記の日程で大阪編が開催されるので、是非、インスタをチェックして欲しい。
「背広散歩」とは?
日本のメンズドレス業界を盛り上げようと、スーツを愛する大人たちが集い、自慢のスーツ姿で街中を歩くイベントとして2023年にスタート。今春で5回目の開催を迎える。
背広散歩~第六回 大阪編~、2025年4月5日(土)開催。

黒野 智也さん
オンワード樫山 J.PRESS&SON’S ディレクター

「服飾評論家の故・落合正勝さんの著書を読んだことで、サックスブルーは日本人の肌に馴染みやすいことを知りました。それ以降、スーツにはサックスブルー系のシャツを合わせることが多くなりました。素材をオックスフォードにすることで、トラッドな雰囲気を加え、タイは奇をてらわずヘリンボーン柄の紺無地でチャコールグレースーツをよりシックに。水玉ストールでアクセントを加えました」

Tomoya Kurono “MY RULE”
「スーツ時にBDシャツの襟ボタンを外すのは、洋服を考える原点である米国らしさ(プレッピーな気分)を表現するうえで、常に意識している着こなしのひとつ」
高田 朋佳さん
WEARLNESS代表

「1974年公開の映画『華麗なるギャツビー』で表現された、1920年代の華やかな米国、ラルフ ローレンが衣装を手掛けた世界観に影響を受けたスタイルです。英国らしい構築的な肩周りとナポリライクなフロントカット、そしてダブルのベストを合わせた紺無地の3ピースを奇をてらわずブルー系でまとめ、スーツの印象を引き立たせました。ターコイズも自分らしさの演出には欠かせません」

Tomoyoshi Takada “MY RULE”
「柄を重ねたVゾーンが洒落て見える場合もありますが、やはりスーツスタイルには2柄以内がエレガントに見えると思います。盛りすぎには注意しています(笑)」
田島 佑介さん
フォーリーフ事業戦略部長

「春のムードを愉しめるキャバルリーツイルのダブルスーツを、ビジネスシーンを想定しながら、シンプルにまとめました。爽やかなサックスブルーシャツには、同じブルー系のタイを馴染ませ、柄をペイズリーにすることで、胸元に僅かな変化を加えました。表情が豊かなスーツだけにシャツ地も風合い豊かなオックスフォードに。Vゾーンは、色合わせはもちろん素材感の調和も大切にしています」

Yusuke Tajima “MY RULE”
「スーツ着用時にはやり過ぎ感が出てしまうので、ポケットチーフを挿しません。特にダブルの場合、どこかに抜け感が欲しいので、胸元はあえて飾りません」
安武 俊宏さん
ビームス オウンドメディア マネージャー

「地厚なコットン生地のブラウンスーツは、アルフォンソ シリカのス ミズーラ。ナポリ仕立ての丸みや柔らかさもありながら、どことなく力強さも残るスーツですから、今どきアメリカンなムードを愉しむにはぴったりなのです。ロングポイントのオーダーシャツにブラックベースのストライプタイでトラッドな雰囲気に。足元はエレガントすぎない黒靴で締める、このリラックス感のあるバランスが好みです」

Toshihiro Yasutake “MY RULE”
「レザーベルト以外の時計をハズしで稀に合わせることもありますが、スーツ着用の時には基本、手首に馴染む黒革ベルトの薄いドレスウォッチが欠かせません」
稲葉 智大さん
伊勢丹新宿店 メンズテーラードクロージング バイヤー

「適度な艶と優美な色合いに魅せられた、ヴィターレ・バルべリス・カノニコ社のカバートクロスをアルフォンソ シリカで仕立てたオーダースーツ。Vゾーンが狭いダブルブレストは、色シャツをポイント使いしやすいので、春らしさを演出するために、あえてイエローのオックスフォード生地でアメリカンなムードに。柔らかい芯なしタイにフワッと立体感を持たせることで、軽やかさを加えています」

Tomohiro Inaba “MY RULE”
「首回りが細く、身長も高くありませんから、全身のバランスを取る意味でもタイのノットには立体感が欲しいと思っています。ですから、常にタイバーが欠かせません」
宮本 雄弘さん
リング東京 バイヤー

「濃紺のダブルブレストは、シルエットにこだわったオーダーメイド品です。Vゾーンは、ピンクやブルーを使った春らしいオルタネートストライプのクレリックシャツを使い、少しファッション的要素を狙いつつ、ベーシックな紺のソリッドタイでビジネスシーンにも通ずる上品さを加えています。シックなスーツですから、チーフの雰囲気を変えるだけで、華やかな場にもすんなり馴染んでくれるのです」

Takahiro Miyamoto “MY RULE”
「スーツを着用する際には必ずロングホーズを履くようにしています。暖かい春の時季でも、汗を吸収してくれるので、パンツの生地を傷めないためにも有効です」
福島 “ティアモ” 雄介さん
ファッションディレクター

「スーツはデッドストックのカバートクロスを使用したダル クォーレのビスポーク。全体的にゆとりをもたせたシルエットで、パンツはグルカアジャスター仕様にするなど、好みの仕様を随所に(笑)。腰回り、裾幅なども比較的太めの仕様です。Vゾーンは、ストライプのタブカラーシャツにダークグリーンのタイ、ともに柄物ですが、トーンを抑えた柄合わせを意識することで大人の落ち着きを与えました」

Yusuke Fukushima “MY RULE”
「なで肩の体型ということもあって、Vゾーンにボリューム感を与えるためにも、シャツはタブカラーが必須。クイッと持ち上がったノットの立体感がマストなのです」
[MEN’S EX Spring 2025の記事を再構成]