日本全国 アートと自然を愛でる癒やしの絶景美術館
心地よい空間や美しい景色のもと、思い思いにアートと向かい合う。美術館を訪ねる目的はさまざまだが、非日常感を味わいながら、心を癒やし、明日への活力をチャージする場所として美術館を楽しんでいるかたも多いことだろう。本特集では展示作品はもちろんのこと、そのロケーションや建物も一体となってアートを堪能でき、心癒やされる美術館を全国各地で探した。ご紹介する美術館は季節を問わず、いつ訪ねても、その時ならではの魅力がある。「いつか訪ねたい場所」として、まずはこちらでの美術館散歩をお楽しみあれ。
大自然との調和を堪能するランドスケープミュージアム

あまたある美術館の中でも、傑出した「景観」が持つ土地のパワーを、余すところなく生かした美術館をご紹介。単なる風景美とは一線を画し、芸術と自然が織りなす美しい関係に心が躍る。
長野・城山
長野県立美術館
信州の山と空と調和したランドスケープ・ミュージアム

※「霧の彫刻」は冬季休止。
「青の画家」東山魁夷を堪能できる美術館
2021年4月にリニューアルオープンした「長野県立美術館(旧・長野県信濃美術館)」。ガラス張りで開放感溢れる建物は、周囲の国宝・善光寺や信州の山並みと調和する“ランドスケープ・ミュージアム”だ。建築家・宮崎 浩氏の構想をもとに、ランドスケープアーキテクト(景観設計の専門家)も加わって、広範囲エリアでの分析を行い、周辺景観と調和するよう設計された。なだらかな斜面の地形に沿って建つ建物は、訪れた人が丘を登るように階を上がりながら、さまざまに変化するパノラマ風景を楽しめる構造だ。
信州に縁のある作家を中心とした4600点以上のコレクションや、企画展も見どころながら、特筆すべきは併設の「東山魁夷館」。所蔵する東山作品は、資料を含めて970余点に上る。国民的画家・東山魁夷にとって信州は自身の芸術を育ててくれた故郷。学生時代にこの豊かな自然に出合って以降、生涯を通してこの土地に通い、代表作「緑響く」など数々の名画が生まれた。そして生前のうちに長野県に多数の作品を寄贈し、それらを展示するため1990年に建てられたのがこの東山魁夷館なのだ。展示品は貴重なスケッチや下図も含むほか、“東山ブルー”を生んだ群青の岩絵の具など愛用品の数々も。東山画伯の息吹が感じられる美術館として、全国から多くのファンが訪れている。

蓼科高原・御射鹿池(みしゃかいけ)に取材した「緑響く」は東山魁夷の代表作。

長野県立美術館

住所:長野県長野市箱清水1-4-4
TEL:026-232-0052
開館時間:9時〜17時(展示室入場は16時30分まで)
休館日:水曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始
料金:コレクション展(本館・東山魁夷館共通)一般700円、大学生および75歳以上500円、高校生以下無料
※企画展は展覧会により料金が異なる。
● コレクション展(本館、東山魁夷館)では、それぞれ2ヶ月に1回程度展示替えを行いながら、1年をかけて様々な収蔵品を紹介。
美術館の開館時間、休館日、展示期間、展示内容等は変更になる場合あり。お出かけ前に美術館の公式ホームページ等をご確認ください。
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[MEN’S EX Autumn 2024の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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