2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。
クロノグラフの動力伝達方式
クロノグラフはクラッチ機構で動力を伝えたり、切り離したりする。スイングピニオン式の長所と短所を交え、解説する。
シンプルかつコンパクト
スイングピニオン式

スイングピニオン式は、キャリングアーム式と並ぶ水平クラッチの1つであり、1886年に今のタグ・ホイヤーの創業者、エドワード・ホイヤーによって発明された。
ピニオンとは、歯車の同軸上に取り付ける小径の歯車。スイニングピニオンも上下に2つの歯車が備わる。これがキャリングアーム式でいうクロノグラフ中間車の役割を果たす。スイニングピニオンの下側の歯車は常時クロノグラフ駆動車と接合し、その駆動力を上側の歯車が秒クロノグラフ車に伝達する。ストップ時は、レバーで押されてスイニングピニオンが傾き、秒クロノグラフ車から切り離され、スタート時にはレバーが離れて元の位置に戻って接合する。

キャリングアームよりコンパクトで、また構造が簡単で量産向き。しかしやはり針飛びしやすく、クロノグラフ作動中のトルクロスも大きい。
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『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ【複雑時計編】』
定価:2,420円(税込)
発⾏・発売:株式会社世界⽂化社
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