2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。
音と振動で時刻を伝える
ALARM(アラーム)
あらかじめ設定した時間になると、音を鳴らして知らせる─アラーム機能は、17世紀のクロックにすでに見られるが、腕時計に搭載されるには、1940年代後期まで待たなければならかった。ムーブメントにはハンマーが備わり、それがケースの裏蓋の内側に設けたピンか専用のゴングを繰り返し打ち、設計時間の訪れを知らせる。音色はゴング式の方が優れるが、裏蓋のピンを叩くタイプは、振動が腕に伝わり、気付きやすい。

ヴァルカンで学ぶ
アラームの読み方・使い方
二段階のプッシュボタンでアラーム設定にリューズを切り替え
下の写真で、赤い三角の指標をもつ針がアラーム設定用。そのリューズ操作は、2時位置のプッシュボタンによって切り替える。
ボタンとリューズは二段階になっていて、リューズを完全に押し込みボタンが一段上がるとゼンマイの巻き上げができ、アラームがオンになる。そこからボタンを押し込むと、リューズは一段上がって操作ができないニュートラルな状態となり、アラームも鳴らない。そこからリューズを引き出すと、通常の針合わせができる。再びボタンでニュートラルに戻し、さらにボタンを押し込むと、リューズが飛び出してアラーム設定ができるようになる。設定後、リューズを押し込めば、準備は完了だ。
