セミ複雑機構のしくみ⑤ワールドタイムとは?

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2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。

世界で活躍するセレブリティの必需品
WORLD TIME(ワールドタイム)

インドやネパールなど一部例外はあるが、GMTの記事で述べたように世界は1時間刻みの時差で24のタイムゾーンに分かれている。ワールドタイムは、各タイムゾーンの主要な都市の現在時刻を、すべてダイヤル上に表示し、その名の通り世界の時間を一目瞭然にする。この機構は、1935年にジュネーブの時計師ルイ・コティエによって発明され、1937年にパテック フィリップが初めて製品化。以降、同メゾンを象徴する機構の1つとなった。

ワールドタイム
パテック フィリップのワールドタイムの現行モデル。現在では同様の機構をもつ時計は他社にもあるが、元祖だけあって信頼性は高く、ダイヤル装飾の美しさでも群を抜く。

パテック フィリップで学ぶ
ワールドタイムの読み方・使い方

回転する都市名&24時間リングで世界主要都市の時刻を表示

ワールドタイムの要となるのが、24時間リングと、24のタイムゾーンを代表する都市名が備わる都市名リングだ。24時間リングは、時針と連動して反時計回りで24時間で1周。そして24時間リングの各数字は、その先にある都市名の現在時刻を示す。

24時間リングと都市名リングは10時位置のボタンを押すと1つずつ一緒に送られ、それに伴い主時針が1時間ずつ進み12時位置に来た都市の時刻を示す。この操作の間、分針は止まったままだ。初期設定は簡単。まずボタンで12時位置に自国と同じ時間帯の都市名を合わせ、リューズで現在時刻に針合わせをすれば、全タイムゾーンの時刻も合う。

パテック フィリップ「ワールドタイム 5230P」
「ワールドタイム 5230P」。ボタン操作式のワールドタイムは、1999年に特許を取得。現行モデルは2022年の発表。ダイヤル中央を手彫りギョーシェが華やかに彩る。
ルイ・コティエ式
24時間リングと都市名リングは、時針の駆動輪列と連結する大きな歯車が動かすしくみ。この24時間と都市名のリングを用いるワールドタイムは、ルイ・コティエ式と呼ばれている。

2025

VOL.345

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